8月7日(火)

この前ブログを更新したのは確か中川李枝子さんの講演会の後だったように思うのですが、あれは5月の末。梅雨入りから梅雨明け、そしてこの猛暑の日々、あっという間に時間が経ちました。学生たちはみんな楽しい夏休み真っ只中ですね。

一度ご無沙汰してしまうとこのブログのページを開くのが一日一日延びてしまうのはどうしてでしょう?この間、もちろん本のこと、図書館のこと、日々いろいろありました。

昨日は夏休み企画第一弾、下中菜穂さんを講師にお迎えしてみんなで紋のお勉強。お話のあとは実作!!紋切り遊びです。切りとった紋は白い団扇に貼り付けて”オリジナルマイ団扇”の完成です。子どもも大人もデザイン、配色をそれぞれ工夫してお気に入りの一品が出来上がりました。子どもたちの作品を目にするたびに、「すごーい」「ステキ」「お見事」と歓声を上げ、自分たちもこんな風な感性を持っていたはずなのに、いつの間に無難な大人大人した感覚になってしまったのか・・・とちょっとショック。きっと私以外の大人のみなさんも同じ気持ちだったのではないかと思います。

ハサミやカッターナイフを手に薄い和紙を相手にひたすら紋を切ります。切り終わったら、スプレーのりを振りかけて素早く団扇へ貼り付けるのですが、細かい切りこみや細ーいものは貼るのも一苦労のようでした。

最後に全員の完成作品を壁側に並べて”ウチワオンパレード”、遠くから眺めるとまたこれがなかなか味わい深いのです。

日本の文化の素晴らしさをしみじみと感じる一日でした。

今週末から今度はガラッと変わって「立体えほん展」がスタートします。大きな屏風のような絵本の世界が展開します。さぁどんなことになるのでしょうか・・・。どうぞお楽しみに。

明日は大学の学生と一緒に国立国会図書館、国際子ども図書館、と一日図書館見学ツアー。また新しい発見、出会いがあるかな?

5月28日(月)

昨日は待ちに待った中川李枝子さん講演会。前日の土曜日、私の携帯が鳴り、「明日12時9分の電車で行きますが、どんなお話をすればよかったんでしたっけ?」と中川さんの方からお電話をいただき、朝からびっくりするやら恐縮するやら、嬉しいやら・・。

そういえば先日も朝突然お電話がありました。「中川ですけど。」「中川さんって大学時代の親友の中川さんとは声が違うし・・・。」と戸惑っていると「中川李枝子です。休日だからまだお休みだった?さっきねこんな朝早いのに郵便屋さんが来てね、届いたわよ。」アーそうか、私は頭の中でやっと話がつながり、落ち着いてお話しができました。

あの日は朝から激しい雨の休日で、東京へ出かける仕度を終えたところへのお電話でした。そのようにお伝えすると、「あら、こんな雨の中、気をつけていらっしゃいね。」優しく温かいことばに私はまるで母と電話しているような気持ちになりました。

そんな温かく優しく、子どもたちへの愛情あふれる中川さんの昨日の講演はあっという間の90分でした。今回は一昨年来ていただいたときの続きを、とお願いしていました。特に印象に残っているのは 自分は日本一の保育士を目指すんだ、と思っていたこと、園長先生から、子どもたちが毎日全員お休みをしないような保育をしてください、と言われてそれを一番に考えて大変だったこと、お話を考える時はいつも子どもたちを驚かせようと工夫していたこと、そして、中川さんが何度も口になさった保育園の周りの「のっぱら」ということばに子どもたちがそこで元気に走り回る姿が目に浮かんでくるようでしたし、中川さんの作品の場面が思い出されました。

私がどんなに子どもたちに慕われていてもね、やっぱり子どもたちの一番はお母さんなの。私はどうがんばっても二番にしかなれない、ということも保育士をしてわかったこと、というお話は特に特にドキッとしたり、グッときたり。そう言われればそれは当たり前のことです。でも娘たちが幼い頃自分は常にそうあろう、と思って接していただろうかと振り返り、毎日のドタバタの繰り返しで気づくと娘たちは大きくなっていたような気がして来ます。会場のお母さん方もきっと同じ様なことを思ったのではないでしょうか(もしかしたら私だけ???)

中川さんのお話が会場のみなさんの心に深く伝わったことは講演後に書いていただいたアンケートの文面を読んでもよくわかります。このアンケートの内容はまとめてから中川さんへお伝えするつもりです。それからまた続きを是非是非という多くの声もお伝えし、次の機会を皆さんと一緒に楽しみに待つことにしたいと思っています。会場一杯にご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

5月13日(日)

 今日は5月の第2日曜日、母の日です。金曜日、大学での授業の前の絵本の紹介はゾロトウの『わたしが母さんだったら』、そして小林多喜二のお母さんの物語、三浦綾子の『母』をとりあげました。

 母の日が近いのでこの2冊を選んだ訳ですが、「この授業で初めて今度の日曜が母の日と気づきました。」いつも書いてもらう本の感想にそんなことを書いてきた学生がかなりいました。あら、みんなもっと母の日に敏感になってよ。まぁ世の中でこの日に一番敏感なのは花屋さんなのかもしれませんけれど。

 私は去年の夏母を亡くし今年は母不在。母の体調は良くなかったものの、去年がまさか最後の母の日になるとは夢にも思っていませんでした。その最後の母の日をどんなふうに過ごしたのかもあまり覚えていません。花、特に薔薇が好きだった母にカーネーションではなく薔薇の花束をプレゼントしたのではないかという程度の記憶です。

話は戻って『わたしが母さんだったら』についての学生のみんなの感想、なかなかおもしろかったです。20歳前後の年齢の感じ方、とらえ方は子どもとも私たち母親年代とも違っている、それは当たり前なのかもしれませんが、若い人たちの感性はステキです。この本の紹介は改めてHPでいつか。

母がいない母の日はヤッパリちょっと淋しいですけれど、自分自身も母であることを思い出して明るい一日にしようと思います。

5月9日(水)

ゆうべモーリス・センダック氏逝去のニュースが流れました。

 『かいじゅうたちのいるところ』をはじめとする多くの作品で日ごろからお馴染みの絵本作家の訃報です。

 ついこの間開催した「センダック展」が何だか追悼展になってしまったような気がして、実際には遠い存在であるはずのセンダックの死はとても身近に感じる悲報となりました。

 でもセンダックは亡くなってしまっても彼の作品の数々はこれからも多くの人たちに愛され、残っていく、という事を考えるとすばらしいなと思いますし、芸術の持つチカラを改めて感じます。

  センダックの冥福を祈りながらまた絵本を開くことにしましょう。天国で満月を仰ぎながら「かいじゅうおどり」を楽しんでいるセンダックの姿が浮かんでくるような気がします。

4月17日(火)

先週はブタくん三昧。まず上野の国際子ども図書館の小展示「すべてのブタは美しい」を見に行きました。何日か前、「Do you love pigs? 」というタイトルのメールが届き、エーッ、なぁに、誰から?と開いてみると、国会図書館時代の先輩、現在子ども図書館勤務のSさんでした。Sさん企画の豚が出てくる児童書の展示です。Sさんの思いがこもった展示リストの解説のアタマには

“清潔で頭がいい、 とう実像にも関わらず、「豚」 「豚小屋」 「豚箱」 「豚野郎」 「豚児」など 豚の評判 はかんばしくありません  ・・・あまりいいイメージが持たれていないのです。 しかし、 子どもたち、児童文学の作家・挿絵画家たちもずっと前から 豚の 実像と  魅力に 気付いてま した。 そうでなかったら  、これだけたくさんの児童文学作家や挿絵画が豚を主人公にして描き、またその作品が子どもちに愛 されているわけがありません。”

こんな文章が書かれていました。ウーン、本当にそう、そう。これは絶対見に行かなくちゃと、先週木曜日に上野まで出かけて行きました。お天気はもうお花見日和、人がいっぱいの上野公園を通り抜け、子ども図書館へ。

洋書がそろう資料室の入り口の書棚二面にブタくんたちが表紙に登場する本が並んでいます。知っている本、知らない本、点数にして66冊を一冊一冊てにとってゆっくり眺めました。(言葉がわからないものもあるので読むというより眺める、でも簡単なSさんの解説があり、何しろ絵がものがたっていますから、十分楽しめました。)ところどころに飾られたブタくんの置き物にも注目、一体どこで手に入れたの、私も欲しい。私物だったらおねだりしたい・・・といろいろクンクン嗅ぎまわりました。

 そして土曜日、この日は座間市立図書館で詩人、絵本作家、翻訳もたくさん手がけている木坂涼さんのお話とワークショップがあり平塚の図書館はお休みしてそちらに参加しました。

 木坂さんの読み聞かせ『ぜったいたべないからね』は絶品。木坂さんの読みに子どもも大人も笑ってしまう場面がたくさんありました。すっかり木坂ファンになってしまいました。実際にお会いしてお話をしてみると、たくさんの翻訳作品から思い描いていた木坂さんのイメージとは全くちがっていました。翻訳する時のお話もあり、どんな顔して原文と向かい合っているのかなぁ、と木坂さんの仕事中の様子を想像しながら楽しいお話に耳を傾け、大人はこれでおしまい、なんて思っていたら大間違い。

 ワークショップではまず詩のように自分の好きなもの、好きなことを紙に書き出してみましょう、木坂さんのアドバイスを受けてから絵をつけてみましょう!子どもたちはワイワイ、どんどん書き始め、大人たちはちょっと待って、と言いながらそのうちに子どもたち、木坂さんのペースに巻き込まれて・・・。

私の好きなものといったら、本?食べ物?いやブタでしょ。そこで書いたのがこんなのでした。

ブタが好き。くるりとまわるしっぽが好き。ブヒブヒぬれてる鼻が好き。  幸せの使者でもあるかわいいブタくんたち。でも、ごめんね、実は角煮も大好きなの。

  というわけでいつも以上にブタくんを意識する一週間でした。

3月26日(月)

 センダック展も残すところあと2日、明日で終了です。昨日はお天気にも恵まれ、鼎談日和?90分という短い時間でしたが、コレクターの有山さん、冨山房の坂本社長、翻訳家のこだまともこさん、3人の方々にセンダックのこと、話していただきました。流れは大体考えていましたけれど、細かい打ち合わせなどなしのぶっつけ本番の進行役でどうなるか、時計を見ながら、次はなにを?と頭の中は大忙し。

 坂本社長からの『かいじゅうたちのいるところ』との出会いや16冊版権を取得した経緯など、出版サイドのお話はとても興味深く、また翻訳者としてセンダックの本と向き合うこだまさんのお話はまたまた「なるほど」と勉強になり、一言一言にセンダックへの思いがあふれてくるような有山さん・・・と進行役を忘れて話に聞き入ってしまいました。会場には坂本社長の奥さまもいらしており、最後に奥様にもマイクを向けて感想を伺いました。

鼎談の後はこだまさんのサイン会、その後場所を変えてゲストの皆さんとお茶をのみながらまたお話をしました。鼎談を聞きにいらした方と何組もお会いしました。みなさん、お茶を飲みながらまたセンダック論? ゲストをお送りして図書館へ帰り片づけをしていると、参加なさったKさんがいらして、「あれからみんなでお茶を飲んでセンダックで盛り上がってこんなにおそくなってしまいました・・・。」もうじき7時ですよぅ。今回の企画、そんなに楽しんでくださったのですね。嬉しい限りです。でもね、一番楽しかったのはやっぱり私です、きっと。ちょっと気難しいとお見受けするセンダックさん、日本の平塚のちっちゃな図書館であなたをテーマに昨日は大いに盛り上がったこと、ご存知ないのは当然ですが、センダックさんのお陰でみんな楽しかったんです、本のチカラ、芸術のチカラ、文化のチカラはすごいですね。

 さて、今週で72冊目になったHPの本の紹介のコーナーですが、センダック作品はまだ取り上げておりません。ここで次はやっぱりセンダック?もちろん冨山房出版の本で。こだまさんのお話をうかがって『きみなんかだいきらいさ』にしようか、基本のキ『かいじゅうたちのいるところ』かな・・・・。わぁ、どうしよう。

3月23日(金)

20日から「マイ・コレクション・・・センダック」展がスタートしました。

2階のすペースはすっかりセンダックの世界。改めて有山さんのコレクションの素晴らしさを感じる今回の展示です。たくさんのかいじゅうたちに囲まれていると、まるで自分がマックスになったような気分になって一緒に「かいじゅうおどり」をしてしまいそう。何とも楽しく幸せになります。みなさんも楽しくなりに来ませんか。私もすっかりセンダックファン。そんなのまだまだファンの域じゃないですよ、と有山さんにいわれてしまいそうですが。

展示は来週の火曜日までです。たくさんの方に見ていただかないともったいない、そんな気持ちです。ぜひどうぞ。

3月6日(火)

  一昨年、大盛況だった中川李枝子さんの講演会の時、定員以上の申し込みに椅子を並べて席は用意したのですが、お顔が見えなくて残念だったという声がたくさんありました。そこでこの度講演会用のステージを大工さんに頼んで作ってもらいました。

それが先週土曜日に運び込まれ、あまりに立派なステージができてきたのでみんなで嬉しい歓声。なかなかいい仕上がり、さすがに熟練した大工さんの作品です。これで遠くからも講師のお顔がバッチリ見えます。25日のセンダック展会期中の鼎談がこのステージのデビューとなります。

図書館の中の設備もひとつひとついろいろなものが揃い居心地がよくなっていきます。外側ばかりでなく、講演会や企画展の中身もどんどん充実させていかなくては。気を引き締めて活動していこうと思います。それにしても本当に立派なステージ。「これなら使わない時、レンタルに出して少しでも運営資金に充てられるんじゃない?」という声も。新しいステージの上で行われる鼎談、みなさん是非聞きに来てください。もちろん中身だって充実した内容の濃いお話になるはずです。

 

2月24日(金)

雨が上がって春がまた近づいた感じです。1月末から調子を崩し、軽い風邪、と甘く考えていたら、持病の喘息に発展しとんだ事になりました。今月初めにお約束していたリンボウ先生とのお食事も延期、すぐに回復できるつもりだったのに今週火曜日はもう最悪の体調となり、早めに閉館して帰宅。翌日は何にもしないでひたすら眠って過ごす一日でした。激しい咳の連続のためか横隔膜のあたりに筋肉痛、ヒーヒー言いながらも眠ったのが良かったのか、大分回復の兆しです。こんなことならもっと早くにどこかで一日眠ることに専念すればよかった、と深く反省しました。

 ただ眠っているのではもったいない、といつもの貧乏性。センダックの絵本論や、読んでおかなくてはと買ってそのままの本など枕元に置いたものの、読書どころではありませんでした。読書も心身健康でないとダメという事、身にしみました。楽しい絵本ですら受け付けられないものですね。

 ということで、明日25日(土)は無理せず休館にすることにしました。ごめんなさい。自宅でつぎの本の紹介や、センダック展の準備など、静かに作業したいと思います。

2月17日(金)

一年間の大学の授業も先週で終了。昨日112人分の成績も通知し、大学の方はしばらくお休みです。前期「図書館サービス論」、後期は「児童サービス論」、あっという間だったようにも思いますし、それぞれの場面ではいろいろ考えさせられたり、反省したり、今どきの学生の様子に驚いたり、感心もしたり。やはり後期の方が私自身は楽しく進められました。

後期最後のレポート課題は児童文学作家・絵本作家についての考察、ということでこちらでリストアップした日本人作家10名、海外の作家10名の中から好きな作家を選んで、というものでした。

国内の一番人気は宮沢賢治、これはきっと資料が豊富だということも大きな理由だと思います。つづいては中川李枝子さん、林明子さん。海外というと、レオ・レオ二、ビクトリア・ポター、ディック・ブルーナーが人気でした。学生一人ひとりの考察を読むことはとても勉強になり、私が知らなかったことも教えてもらいました。学生のみんなが小さいときにどんな本に触れてきたのか、というのも興味深く丁寧に読んでいるとかなり時間がかかってしまいます。なにしろ100人以上のものに目を通すのですから。

最後の授業ではいつも2冊ずつ紹介している絵本の読み聞かせの時間を長めにとり、5冊。まだまだいっぱい紹介したい本がありました。学生からは「絵本の楽しさ、すばらしさを改めて感じる半年だった」という感想も寄せられ、良かったのかなと思います。自分自身の反省と今後の進め方を春休みにじっくり考えたいところです。

図書館では春休みの企画「マイ・コレクション・・・センダック」展の準備が本格的にスタート。これからたくさんの方々にチラシを配布しお声をかけていきます。

火曜日にお雛様も飾り、外は寒いですが、館内はちょっと華やいだ雰囲気になりました。どうぞご来館ください。