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9月6日(木)

暑い暑いと言っているうちに9月になりました。まだまだお日さまは元気に勢いよく私たちを照りつけ、その強い日差しを浴びながら汗をかきかき動き回る日が続いています。

8月は下中菜穂さん講師による紋、切り紙遊びに続き、多摩美大をこの3月に卒業した峰若菜さんの卒業制作作品「立体えほん 森のなか」展を開催。屏風のような大きな立体えほんにはしかけも施され、今までの絵本のイメージを変える作品、みなさんに好評でした。次の作品が楽しみです。

静岡にご実家のある知人から芹沢珪介美術館で絵本展をやっているようだから時間があったらいかがですか、とメールが届きました。パリで仕事をする方なので、きっとご本人は見ることなくまたパリへ戻ってしまったのでしょう。さっそく行ってみました、芹沢珪介の絵本展。

松本の民芸家具にもぴったり、と母が好きで毎年型絵染のカレンダーを伊東屋で買う、というのが当り前のように昔から続いている我が家。玄関に飾ってあるカレンダーを月が変わると新しいものに入れ替えるのが私の役目になったのはいつごろからだったか。カレンダーを納める額は松本民芸にお願して作ってもらったものです。

そんなことで小さいころから親しんでいる芹沢さんの型絵染ですが、美術館を訪れたことはありませんでした。1981年に建てられたというこの美術館は登呂遺跡の敷地内にある静岡市立の美術館です。

平日、東名高速をスイスイと走って(運転は私ではなかった!走っていただき)到着。先ずは腹ごしらえ、美術館の前にある安部川もちのお店「やまだいち」でお蕎麦と安部川もちを食べました。古い建物のこのお店がなかなかいい感じで芹沢さんもご贔屓だったようです。

登呂遺跡の入り口にある竪穴式住居と高床式倉庫、「昔習ったよねぇ。」と懐かしく見学してからお目当ての美術館へ。

入口には型絵染の大きめな団扇が置かれています。暑いので扇ぎながら見学を、ということなのでしょう。気に入った柄の団扇を手にした瞬間からもう芹沢ワールドがスタートです。

“芹沢珪介が特に好んだものの一つに「本」が挙げられます。自らも絵本を作ることを好み・・・”と展示のチラシを読んで、芹沢さんが本にもチカラを入れていたことを知りました。第一部 芹沢珪介の絵本、第二部 芹沢珪介の収集品より~世界の書籍~という構成になっています。

 『絵本どんきほうて』『法然上人絵伝』『益子ひがえり』『沖縄風物』『諸職道具紋尽し』・・・どれも限定部数のものばかり、そして言うまでもなくすばらしい作品ばかり。

芹沢さんは焼き物や沖縄に興味を持っていたことを知り、それを作る過程、職人や道具、それからその土地の暮らしに目を向け作品にしているを知りました。カレンダーやのれん、座布団カバーのデザインでお馴染み、なんていうこれまでの自分の勉強不足をちょっと反省しながら一つ一つ見学しました。見ごたえがあり時間もたっぷりかかりました。

建物もステキで、静岡に来たら是非芹沢珪介美術館へ行って、ついでに登呂遺跡、という感じでしょうか。美術館のお隣には芹沢珪介の家もあり、日曜日と祝日に公開されています。今回は平日だったので外から眺めるだけで残念。パンフレットを見るとますます残念、残念。1987年に東京蒲田からここ静岡に移築されたこの自宅、もともとは宮城県北部から古い建物を移築したものだそうで、芹沢さんお気に入りの空間が広がっている様子がパンフレットとからも伝わってきます。

この展示会は9月2日で終了しました。売店でこの展示会のために用意された絵はがきセットを買いたいと思ったらすでに完売でした。こちらも残念。次の企画がまたすぐ始まるようです。「身にまとうよろこび~芹沢珪介の着物と世界の民族衣装~」詳しくは美術館のHPをどうぞ。

 さて、この展示会を教えてくださった知人に「行ってきました」と報告のハガキ、もちろん芹沢さんの型絵染の絵ハガキでパリへ送らなくっちゃ。