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5月28日(月)

昨日は待ちに待った中川李枝子さん講演会。前日の土曜日、私の携帯が鳴り、「明日12時9分の電車で行きますが、どんなお話をすればよかったんでしたっけ?」と中川さんの方からお電話をいただき、朝からびっくりするやら恐縮するやら、嬉しいやら・・。

そういえば先日も朝突然お電話がありました。「中川ですけど。」「中川さんって大学時代の親友の中川さんとは声が違うし・・・。」と戸惑っていると「中川李枝子です。休日だからまだお休みだった?さっきねこんな朝早いのに郵便屋さんが来てね、届いたわよ。」アーそうか、私は頭の中でやっと話がつながり、落ち着いてお話しができました。

あの日は朝から激しい雨の休日で、東京へ出かける仕度を終えたところへのお電話でした。そのようにお伝えすると、「あら、こんな雨の中、気をつけていらっしゃいね。」優しく温かいことばに私はまるで母と電話しているような気持ちになりました。

そんな温かく優しく、子どもたちへの愛情あふれる中川さんの昨日の講演はあっという間の90分でした。今回は一昨年来ていただいたときの続きを、とお願いしていました。特に印象に残っているのは 自分は日本一の保育士を目指すんだ、と思っていたこと、園長先生から、子どもたちが毎日全員お休みをしないような保育をしてください、と言われてそれを一番に考えて大変だったこと、お話を考える時はいつも子どもたちを驚かせようと工夫していたこと、そして、中川さんが何度も口になさった保育園の周りの「のっぱら」ということばに子どもたちがそこで元気に走り回る姿が目に浮かんでくるようでしたし、中川さんの作品の場面が思い出されました。

私がどんなに子どもたちに慕われていてもね、やっぱり子どもたちの一番はお母さんなの。私はどうがんばっても二番にしかなれない、ということも保育士をしてわかったこと、というお話は特に特にドキッとしたり、グッときたり。そう言われればそれは当たり前のことです。でも娘たちが幼い頃自分は常にそうあろう、と思って接していただろうかと振り返り、毎日のドタバタの繰り返しで気づくと娘たちは大きくなっていたような気がして来ます。会場のお母さん方もきっと同じ様なことを思ったのではないでしょうか(もしかしたら私だけ???)

中川さんのお話が会場のみなさんの心に深く伝わったことは講演後に書いていただいたアンケートの文面を読んでもよくわかります。このアンケートの内容はまとめてから中川さんへお伝えするつもりです。それからまた続きを是非是非という多くの声もお伝えし、次の機会を皆さんと一緒に楽しみに待つことにしたいと思っています。会場一杯にご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

5月13日(日)

 今日は5月の第2日曜日、母の日です。金曜日、大学での授業の前の絵本の紹介はゾロトウの『わたしが母さんだったら』、そして小林多喜二のお母さんの物語、三浦綾子の『母』をとりあげました。

 母の日が近いのでこの2冊を選んだ訳ですが、「この授業で初めて今度の日曜が母の日と気づきました。」いつも書いてもらう本の感想にそんなことを書いてきた学生がかなりいました。あら、みんなもっと母の日に敏感になってよ。まぁ世の中でこの日に一番敏感なのは花屋さんなのかもしれませんけれど。

 私は去年の夏母を亡くし今年は母不在。母の体調は良くなかったものの、去年がまさか最後の母の日になるとは夢にも思っていませんでした。その最後の母の日をどんなふうに過ごしたのかもあまり覚えていません。花、特に薔薇が好きだった母にカーネーションではなく薔薇の花束をプレゼントしたのではないかという程度の記憶です。

話は戻って『わたしが母さんだったら』についての学生のみんなの感想、なかなかおもしろかったです。20歳前後の年齢の感じ方、とらえ方は子どもとも私たち母親年代とも違っている、それは当たり前なのかもしれませんが、若い人たちの感性はステキです。この本の紹介は改めてHPでいつか。

母がいない母の日はヤッパリちょっと淋しいですけれど、自分自身も母であることを思い出して明るい一日にしようと思います。

5月9日(水)

ゆうべモーリス・センダック氏逝去のニュースが流れました。

 『かいじゅうたちのいるところ』をはじめとする多くの作品で日ごろからお馴染みの絵本作家の訃報です。

 ついこの間開催した「センダック展」が何だか追悼展になってしまったような気がして、実際には遠い存在であるはずのセンダックの死はとても身近に感じる悲報となりました。

 でもセンダックは亡くなってしまっても彼の作品の数々はこれからも多くの人たちに愛され、残っていく、という事を考えるとすばらしいなと思いますし、芸術の持つチカラを改めて感じます。

  センダックの冥福を祈りながらまた絵本を開くことにしましょう。天国で満月を仰ぎながら「かいじゅうおどり」を楽しんでいるセンダックの姿が浮かんでくるような気がします。