4月6日(水)
春らしい明るい日です。この暖かいお日さまに誘われて遠慮がちにしていた
桜もようやく美しい花を咲かせてくれそうです。
平塚駅の改札には新しい制服を着た初々しい高校生とスーツ姿のお母さん
が定期を買うために長蛇の列、この時期ならではの光景です。駅の構内は
節電中で暗いけれど、新しいスタートを切った若者たちはピカピカ輝いているよう
に見えますし、その様子はすがすがしく、こちらまで元気になるような気がしまし
た。
さて、先日佐藤忠良さんがお亡くなりになりました。日本の具象彫刻にとっ
てとっても大切な人だった、と舞台美術家の朝倉摂さんは佐藤さんの死を
悼んでいらっしゃいます。彫刻の世界での活躍はもちろんのこと、描かれた絵も
とても素晴らしく私は大ファンでした。朝倉さんも「すごく絵がうまい。・・・木なん
か描かせるとびっくりするくらいうまかった。」と新聞記事に書いていらっしゃいま
す。まさにその「木」が絵本になった木島始さん作『木』(福音館書店)やロシヤ
民話『おおきなかぶ』{福音館書店)など、佐藤忠良さんの絵の力が果たす役割
の大きさはいうまでもありません。
お話もステキで大好きな杉みき子さんの風景をテーマに45の小品を集めた
『小さな町の風景』(偕成社)の挿絵も佐藤さんだったことを思い出して
本棚からこの作品を引っ張り出してみました。何だか懐かしく温かな匂いが
お話からも挿絵からも感じられる一冊です。長崎源之助さん逝去のニュースも
その数日後に伝えられました。児童文学の要人がご高齢になって姿を
消してしまうのは淋しい限りです。