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2月26日(土)

 「からたちの花」や「このみち」、「ペチカ」などの童謡でもお馴染みの

詩人北原白秋が平塚にも縁があって、「平塚小唄」「平塚音頭」の作詞をしてい

ること、ご存知ですか、と先日来館した平塚観光サポーターの方からお話をうか

がいびっくりしました。白秋のことをいろいろ調べていらっしゃるようでした。

湘南高校の校歌も白秋作詞、山田耕作作曲だということをわたしは初めて知り

ました。校歌や応援歌もたくさん書いている白秋さんです。お話をうかがっていく

うちに『平塚――ゆかりの文人たち』という本のことになり、その本の中で村井

弦斎、中勘助等文人のことを綴っているの著者の井上弘さん、そのお名前を

聞き、もしかしたらうちの図書館の評議員の井上先生??とまたびっくり。  ご

高齢になられましたが、いつも元気に評議員会にご出席くださるステキなおじい

ちゃまです。井上先生とそういう文学や文学者のおはなしをしたことがなかった

ので文学に造詣の深い先生ということは知っていましたが、普段の先生の別の

一面という感じがしてしまいました。一度井上先生のお宅へ伺ったときに、お部

屋も廊下も本だらけ、あちこちに本が積まれていてソファーの下もヨコも所狭し

と本の山。それでもどこに何の本が積んであるのかはきちんと把握なさっていて

お目当ての本を戸棚の下の方からちゃあんと出していらして、みんなが目を丸く

しました。あれらの本は今も同じ状態で保管されているのでしょうか。もっと

本の山は高くなっているのかもしれません。今度先生をお訪ねして、白秋の

ことを中心にお話をお聞きしたいものです。

 白秋の作品に「かちかち山の春」というのがあります。

         かちかち山の春  北原白秋 

  かちかち山の花すみれ、
  狸は火傷で穴ごもり。
 
  兎の大工は船つくり、
  小川のやなぎも芽を吹いた。
 
  雨ふりや爺さんさびしかろ、
  お臼のうしろで矮鷄が啼く。
 
  日が照りや鍛冶屋がカアンカン、
  お寺ぢや甘茶の花祭。
 
  兎はせつせこ、鉢卷だ、
  それでも土舟まだできぬ。

 

  「かちかち山」のおはなし思い出しましたか?

2月21日(火)

  来週はもう3月、図書館でもお雛様を一年ぶりに倉庫から出し、先ほど

飾り終えました。一気に華やいだ感じになり、春も近し、と心が躍ります。

我が家は長女が大晦日生まれ、実家の母は年が明けるとすぐに岩槻へお雛

さまを見に駆けつけました。まずは内裏雛一組いいもの、という私のリクエスト

どおりの立派なお雛さまを用意してもらい、1年半後に生まれた次女のために

今度は三人官女とお道具が届きました。五人囃子や大臣たちは少しずつ

自分たちでね、と言われ結局3番目の女の子も生まれず、お雛様のメンバーは

それっきり増えていません。でも大きくて立派なものなので、この5人と

お道具だけでも十分な存在感です。毎日開館していないので3月いっぱいは飾

っておこうと思います。是非見に来てください。

  石井桃子さん作『三月ひなのつき』を久しぶりに読み返しました。

お母さんのお雛さまへの思い、娘の雛祭りへの憧れ、母娘のやりとりにも心に

しみるものがあり、石井さんの作品、やっぱりいいな、と本を閉じました。

これもまた改めて本の紹介で取り上げたいと思います。

2月19日(土)

2泊3日の予定でスキー教室に参加していた下の娘、新潟県の六日町に滞在

中、電話をしてもメールをしてもなんの返事もなく、いきなり玄関のチャイムを鳴

らしてご帰宅。それもスキ-教室へ行ってきたとは思えない身軽さで帰ってきま

した。「荷物は?」「送った、明日届く。」よっぽどお疲れらしくぶっきらぼうな返事

です。でもすぐに明るい声で「ママ!私スノボーできるようになったよ。すごいで

しょ。自分でもびっくり。」 それから 「もう半端ない筋肉痛。おなか減ったぁ、

ご飯なぁに?」 「ホテルのご飯どうだったの?」「美味しいわけないじゃん。

バイキング、三食とも。バイキングっていっても帝国ホテルとは月とすっぽん。

ご飯に満足できないからついついみんなで部屋でお菓子食べちゃって太ったか

なぁ・・・。」と体重計にまっしぐら。

 そんな娘の話を聞きながら私は大急ぎでガスに火をつけ、お皿を出し、娘の好

きなお魚料理や野菜サラダなどをテーブルに並べました。「魚定のお魚だから

おいしいはずよ、野菜もいっぱいたべなさいね。」 お魚が大好き、特にお刺身

は大好物、ブロッコリーやカリフラワー、キュウリ、トマトと野菜サラダの中身にも

うるさい娘がバイキングのフライやカツなどでずっと過ごしてきたのではかわい

そう、今夜は娘の大好きなお魚メインのお鍋の予定。

 お鍋の中身に文句はいわないものの、入るべきものが入っていないと、

アレ?と指摘されてしまいます。この間もちゃぁんと切って笊に準備しておきな

がらネギを入れ忘れて「なんでネギ入ってないわけ?お鍋にはネギと白菜

は常識でしょ。」とやられました。今夜は特に手ぬかりのないように用意しな

くては・・・。ネギは丈が長く新鮮なものほどにおいも強烈、白菜は重たいし

八百屋さんで買って持ち帰る時に一苦労します。主婦の買い物袋からネギがス

クッ顔を出しているととても庶民的な感じがしていいな、と思います。でもカシミ

アのコートなんか着ている時にネギの顔を出した袋はちょっと似合いませんけれ

ど。

 芥川龍之介の短編『葱』にはその庶民性が心悲しいくらいに表現されてい

ます。カフェの女給のお君さんはハンサムな若いお客の田中君とデートすること

になりました。二人手を取り合いながら、まるで『不如帰』の主人公のような

心持。”すべてのものがお君さんの眼には、壮大な恋愛の歓喜をうたいながら、

世界のはてまでもきらびやかに続いている。・・・・・幸福、幸福、幸福・・・・”

二人が一軒の小さな八百屋の前を通った時、お君さんの視線は葱の山の中に

立っている「一束四銭」の札をとらえました。この物価高に一束四銭。”今まで

恋愛と芸術に酔っていた、お君さんの幸福な心の中に、其処に潜んでいた

実生活が突如としてその惰眠から覚めた――” お君さんは思わずネギを

買ってしまうのです。その姿を夢から覚めたような気分で眺める田中君に”実生

活の如く辛辣に眼に滲む如き葱の匂い”が鼻を打つのですが、主婦の私

にはお君さんの気持ち、行動がよーくわかってしまうのです。

娘からはきっと「お君さん、ありえなーい。田中君の気持ち、マジわかる」なんて

いう反応が返ってくるのでしょう。でもね、君たちにも主婦感覚が備わってきてこ

の気持ちよーく分かる時が来ると思うよ、娘さんたち。

2月15日(火)

  夕べはあっという間に雪がつもり、電車は遅れ気味、車の

運転もかなり慎重になりました。雪が降るといつも降っている時のことよりも

翌朝のことが気になります。道路が凍結すれば、車の運転ができなくなります

し、その上電車やバスが遅れれば・・と朝から交通情報に

耳を傾け、予定の時間通り到着する手立てを考えなければなりません。

特に今日は娘の受験日、駅まで車で送っていかれなかったり、

電車が遅れたりしたら大変。それに私も平塚まで車で行かれない

となるととっても不便。朝起きると一番に玄関のドアを開け外の様子を

確かめました。夕べの降りから想像していた積もり方よりは大分望ましいぞ、

これなら送り迎えも平塚行きも大丈夫そう、とホッしながら朝ごはんや

お弁当の用意を始めました。洗濯物も今日はバッチリ乾きそう、ヤレヤレ。

我が家の辺りは雪がかなり残っていて、お隣の会社では出勤早々朝一番の仕

事が玄関先の雪かきのようでした。スコップで雪をかく音が長い間聞こえ

ていました。

  さて、雪はまだまだ道路の淵に積もっているものの、運転には全く

支障もなくいつもの道を平塚に向かって進んでゆきます。途中から姿を

見せる大山や富士山もふだんよりもお化粧が濃く冬の装いです。

平塚に近づくにつれ夕べの雪は姿を消し、市内に入ると雪なんか降りません

でしたよ、というようにどんな日陰にも雪は見当たりません。こんな近隣でも

地域によって温度差があるのだと実感します。私の前の車はてっぺんに昨日の

雪をそのまま乗せて走っていたのですけれど、雪がまったくない街中を行く

その姿はまるで田舎からやってきたようで可笑しくなります。途中で

溶けてきた雪がバサッと道路に落ちていく様子も楽しくて、ちっちゃなかわいい

雪崩だなぁ、と富士山も遠くから笑ってみているような気がしました。

  雪が溶けるといえば『ゆきだるまのさがしもの』(ゲルダ・マリー・

シャイドル作 セーラー出版)を思い出します。白い雪の世界しか知らない

雪だるまが色とりどりの花に憧れ花を探しに・・・。そしてやっと見つけた

時に雪だるまは・・・。小学校の読み聞かせの時間に取り上げ、子どもたちにも

大人気のおはなしのひとつ。一番心に残ったおはなしのトップにあがった、みん

なが大好きな作品です。また本の紹介で改めて。

2月12日(土)

  雪がちらつく寒い冬の日です。毎年2月11日の祝日は

 チョコレート準備で大忙し。手作りチョコは時間的に無理になってもっぱら

お気に入りのお店からの取り寄せが中心ですが、最近は私に代わって娘が

手作りチョコ、チョコレート菓子を作るようになって、キッチン、オーブンが娘の

貸し切り状態になります。外出していると「無塩バター足りないから買ってきて。

「牛乳使っちゃったからもうないよ」「粉ふるいはどこにある?」と頻繁に携帯

電話がかかってきます。

 我が家の定番カレンダー、LINNEA POSTER CALENDAR の2月

のイラストは毎年バレンタインデーに因んだかわいいものです。今年はたくさん

のキャンディがハート形にならべられています。そして日付けのところが14日は

数字が入らずに、ハートのマーク、その中に 「BE MINE」という文字が入っ

ています。娘たちも気づいていたらしく、すごい言葉だね、という感想でした。

さすがにアメリカ、という感じです。男性に対して「自分のものになって」なんて

思ったことあったかなぁ・・・・。

  デパートの地下は特設チョコレート売り場も登場し、いつも以上に女性の姿

が多く、その熱気ったら!! 外の雪の寒さも嘘のようでした。チョコレート商戦

もすごいものがありますね。バレンタインデーにチョコレートをプレゼント、という

習慣はいつごろから始まったのでしょう。中世のころ、バレンタインの日には手

袋や袖の交換をしたそうです。中世の衣裳はふつう取り外しのきく袖がついて

いて2月14日にはそれぞれ好意を寄せている男性の袖を身につけて過ごすとい

う習慣があったようです。なんと優雅でロマンチック。そのころはもちろんホワイト

デーなんかなかったわけですけれど男性が女性のものを身につける日はあった

のかな。 

 今年14日は月曜日、週のスタートからチョコレート攻めにあう男性のみ

なさん、ご苦労様。

 チョコレートが出てくる児童文学といえばやっぱり『チョコレート工場の秘密』で

すね。映画にもなりましたが、あったかーいチョコレートドリンクでも飲みながらゆ

っくりと原作も読みましょう。

初午

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2月8日(火)

  今日は初午。 毎年年が明けると暦を開いて、初午の日を確認します。

実家の庭に祭ってあるちっちゃなお稲荷さんに早朝から油揚げとお赤飯を

もって駆けつけました。母が不在のため昨日から「明日は初午だからよろしく」

と妹からメールが届いていました。お赤飯はチンするパックが一番下の引き出し

にあるけど、油揚げは適当にお願い、ということで冷蔵庫の中にあるおいしい大

磯の真壁豆腐店の油揚げをお供えすることにしました。どうせ鳥やネコにすぐに

持っていかれてしまうのでしょうが、一年に一回のことだからご馳走してあげて

いいか・・手を油にしながら袋から取り出してお赤飯をかわいいおむすびにして

準備完了。

 実家まで歩きながら、キツネの出てくるお話ってなにがあったっけ、と頭は

すっかり図書館員。キツネはずる賢い役回りでかわいそうな気もしますが、

『こんとあき』のキツネは何にも話さないけれどあきを見守るあたたかな存在とし

て登場します。それから『ごんぎつね』はかわいそうな最後だった・・・今日図書

館へ行ったらキツネのお話、絵本さがしてみるからね、とお稲荷さんに手を合わ

せました。 

2月5日(土)

  今日は今年最初のおはなし会、テーマはおはなしの中の「鬼」。

どのくらい子どもたちが集まってくれるかな、大人はどうかな、

たくさん来てくれると嬉しいな。スタッフはみんな同じ気持ちで準備を始めます。

豆まきは一昨日済んでしまいましたが、節分にちなんだお楽しみの用意もすっ

かり整ったころ、参加者が続々お目見えです。久しぶりの子もいます。

ついこの前の火曜日にも来てくれたRくん、Tくん、Sくんの姿もあります。

大人だけの参加者もおなじみの方々、みなさんありがとうございます。

 佐藤さんのすばなし『かたつの子』から始まり、『おなかのなかにおにが

いる』、『島ひきおに』、『なみだおに』 休憩をはさんで『ゼラルダと人喰い鬼』

『おにのめん』、最後は『ソメコとオニ』の7つのお話を取り上げました。

『島ひきおに』は何度読んでも切なくて、何度読んでも二ヤリとしてしまう

『ソメコとオニ』。こんな鬼に出会ってみたい、とどのおはなしの中の鬼も

魅力的です。

 長いものも多かったのですが、小さい子どもたちも最後までお話に

耳を傾け、熱心に聞き入っていました。素晴らしい、と大人スタッフは今回も

感心して子どもたちを見守ります。

 『ゼラルダと人喰い鬼』を読んだ私は大きな失敗をしました。

本番で書棚にもう一冊あった新しい本を使ったことが誤りでした。下読みの

時の本よりこちらの方がきれい、と単純に本を入れ替えて読み始めたのですけ

れど、1ページめを読み終えて次のページをめくろうとしててこずりました。

アッしまった、と思った時はもう遅かった・・・。手になじんでいない本は開き

にくくページもめくりにくいのです。つい本がきれいだから、と基本的なことを

うっかり忘れてしまい、その動揺は読みにも如実に表れたのでした。

ごめんなさい。でも帰りがけにSくんのお母さんが「すっかり人喰い鬼が

気に入ったようです。」と言ってくださったのでちょっとホッとしました。

また火曜日に『ゼラルダと人喰い鬼』を読みに来てくれるかな。

今回も朗読を引き受けてくれたYくん、お疲れさまでした。いっぱい

練習したことでしょう。ありがとう。参加してくださったみなさん、おうち

で鬼のお話をしながら鎌倉の「まめや」さんのお豆食べましたか?

鬼は本当にいるのでしょうか?今日のお話のように優しい鬼、人懐っこくてかわ

いい鬼だったら一緒に遊んであげてもいいよね。

 人の心の中に住む鬼が一番怖いんじゃないかしら、と思います。

心の中にいるかもしれない鬼退治のためにもお豆を食べるのかな?

 きっと私が一番楽しかった今日のおはなし会でした。

 『島ひきおに』、『ゼラルダと人喰い鬼』は近々本の紹介のコーナーに

登場する予定です。

 

 

2月1日(火)

  あっという間に1月が通り過ぎ、これで今年も12分の1が終わってしまった、

とカレンダーをめくりました。

 車を約一時間運転して平塚へ来ています。今朝久しぶりに富士山が全体

の姿を現していて、信号待ちしながらずっと眺めていました。もちろんまだまだ

雪におおわれているのですが、「もう春も近いよ」といっているような今日の

姿でした。

  上の娘の大学受験がいよいよ本格的にスタートし、勉強するのも

試験を受けるのも本人、とあまり干渉しない私に娘はちょっと不満そうです。

願書はお母さんが書いてくれている人もいる、受験校の日程一覧は

お父さんが全部パソコンで作成してくれている人もいる・・・とか。

私の時とは受験システムもずいぶん変わってきていて正直ついて行かれない

ところもありますけれど、受験生、受験生を持つ親もずいぶん変わってきている

のかもしれません。何と言われても願書は自分で、日程管理も自分で、

親はお金のことだけ、の姿勢を崩さずに最後まで行こうと思っているところです。

遠い昔の自分の受験の時のことで印象的だったのは、試験が始まる直前まで

見ていた原仙作の英文法の問題集の問題と同じものが出題されて、

びっくり。 英文法の一問が確実にできても合格するわけでもないの

ですが。それから古典の問題で同じ作品が取り上げられて、ある大学は

前半がもう一方では後半の部分が出題されていて、丁度真ん中が

ダブっていました。見直しをしてあったのでその作品についての問題は

きちんと解けたように思います。こういうこともあるので試験が終わって

帰宅してからの対応も大切かもしれません。

 受験が近づいていつも思っていたのは、受験が終わったら思いっきり

本を読んで、ピアノも弾こう、ということでした。時間がない、と思えば思うほど

あれもこれもやりたくなり、いざ時間がたっぷりできたら、思う存分それができる

かというとそうでもない、ということが多いですね。受験勉強から解放

されて初めて読んだ本がなんであったかは全く覚えていません。

 うちの娘はこの受験が終わったら先ず何をするのか、どんな本のページを

開くのか・・・・。とりあえず受験がこれで終了してくれますように。