» 2011 » 1月のブログ記事

1月29日(土)

 これまでにどんな本を読んできたのか、これから先どんな本を読んでくの

か・・・。 朝日カルチャーセンターで荒川洋治さんのお話を聞くたびにこれまで

の、そしてこれからの自分の読書について考えさせられます。

 もともと詩人の荒川洋治さんの文学講座、今開講されているのは「心に残る

文学作品」。毎回とても内容が濃く大変勉強になります。荒川さんの読書量、知

識の深さにはいつも圧倒され、本当に文学がお好き、本と共に歩んでいる方

だと憧れに近いまなざしでお話を聞いています。わたしよりも7年先輩に

なるのですが、どんな文学青年だったのかしら、と学生のころの姿まで

お話から見えてくるような気がします。

 受講しているわたしは、と言えば本が好きで自分なりに読んできたつもりです

が、そのわりに文学の知識も浅く荒川さんのお話を聞くたびに恥ずかしくなり、

こんな状態でお話を聞くのは失礼か、と思ってしまうほどです。

 ついこの間の講座では「議論、論争」に視点をおいて昨年出た荒川洋治さん

の注目本を紹介してくださいました。プラトン『プロタゴラス―あるソフィストとの

対話』、トーマス・マン『トー二オ・クレーガ-』、この新訳本2作品を中

心にしたお話でした。 「やっぱりね、読んでおかなければならない本というもの

がありますね、それを読んだか読まないかで、人生が全く違ってしまう、

そういう作品があるんですね。」 今更そんなこと言われても・・・、でも

今からでも遅くないか・・・。翌日わたしは本屋さんへ行き、講座で紹介

された作品を買い、今電車の中でひたすら読んでいます。新聞や雑誌の

書評以上に説得力のある読書についての指針、情報を得られるこの

講座は今わたしの大きな楽しみの一つです。

1月25日(火)

 今年最初のおはなし会を来週2月5日(土)に開催します。

まだまだ定例化していないおはなし会ですが、この図書館らしい

オリジナリティが感じられるおはなし会を毎回心がけています。

前回は金子みすゞさんの詩を中心とした「詩」の世界をのぞく

企画でした。今回は「鬼」がテーマ。3日の節分を過ぎてからの

開催ですけれど、豆まきのことを振り返りながら鬼が登場する

お話をみんなで聞こうという試みです。

 昨日おはなし会スタッフとプログラムの相談をしました。

大人女性4人が集まってお茶を飲みながら、この本だ、あのお話だ、

と賑やかに打ち合わせ。鬼が出てくるお話はたくさんあります。それぞれ

お気に入りの本、お話があるのは当然のことです。その中から時間配分

参加メンバーの年齢、お話の傾向を考慮してようやく全部で7つが

選ばれました。

  取り上げる本が決まると次は順番と担当者の相談、そして最後に

今回のお楽しみは何にしようか、という話になります。節分の直後ですから

やっぱり・・・ということで「お楽しみ」は当日のお楽しみに。

  さっきY君のお母さんが来館し、Y君は「コレ読んでほしいな」と先日

すでにお願いしてあるお話の音読練習にチカラが入っているとのこと。こちらも

楽しみ。Y君に負けないように大人もしっかり準備しましょう。

  間もなく三時、これからY君のお母さんのお土産、手作りイチゴ

大福を温かいお茶と一緒にいただきます。

1月22日(土)

  今日座間市で学校図書館大交流会が開催されます。主催は学校図書館大

交流会実行委員会、生きた学校図書館をめざす会。学校の図書室や公共図書

館に関心のある人を対象に毎年開かれているようです。座間市は

昨年秋「子どもの読書環境を考える」というシンポジウムを図書館で開催しまし

た。市立図書館は大変熱心に児童サービスに取り組んでいます。各小学校の

お母さんたちも熱心にこどもの読書について考えています。読み聞かせ、

図書室の整備など、積極的な活動をしています。座間市ではまだ図書室に

専門の司書配置がなされておらず、シンポジウムでもそのことが話題に

なりました。

  娘たちの小学校で図書整理ボランティアを立ち上げ、読み聞かせ

にも参加したわたしは今も市の子ども読書推進活動に関わっています。

どの小学校もお母さんたちのチカラで図書室は以前に比べてきれいに使いやす

くなりました。子どもたちにとって居心地の良い空間になってきているはずです。

市の図書館職員の方々の協力を得て、本の修理の仕方、ブッカ-のかけかた

を習得し、簡単な分類の知識を学び、がんばっています。でもお母さんたちがで

きるのはそこまで。お母さんたちは常時図書室にいて専門的な読書指導をする

ことはできません。やはり専門の司書がいつも図書室にいることが望まれま

す。子どもの読書環境改善の次のステップはそこにあるとみんな感じています。

今日の大交流会ではどんな情報交換がなされるのでしょうか。そろそろ

始まる時間かな。わたしは今日は平塚の図書館の開館日でかけつけられ

ませんが、あとで参加者からお話を聞こうと思います。

  

 

1月18日(火)

  この前の土曜日、カウンターでいつものように書類の整理をしたり、買って来

たばかりの本を広げて読んでいたら、ぞくぞくお馴染みの親子がご来館。

もう時間は四時を過ぎています。あと一時間もないよ~、もっと早くから

おいでよ~と思いながらも大切なお客様を迎えるウキウキ気分。恐竜が大好き

なRくんはいつもの場所へまっしぐら、なに読んでいるのかな、と覗きに行くと

今日は馬場のぼるさんの『11ぴきのねこ』シリーズの『どろんこ』でした。どのペ

ージにかわいい恐竜が登場しているのです。「どうやってみつけたの?」とRくん

に尋ねたのですが、「いたよぅ。」とニコニコしているだけでした。

  弟のKくんはちょっと前までやっと立ち上がったね、といっていたのに

小さい身体を大きく揺さぶりながら自由に歩き(走り)回ってはわたしの方を

時々みてニコッと笑いかけてくれます。この図書館の空間がすっかり

お気に召した様子。そしてもうすっかりおなじみになって、ここにいるのが

嬉しい、という感じです。お兄ちゃんのRくんはまだ曜日の感覚がはっきり

していないのに、「今日は火曜日だね」とお母さんが言うと、Rくん「升水図書館

がやってる日だね。」…こんな会話のあと訪ねてきてくれていると知って

わたしは嬉しくなるばかりです。こんなに小さい時から、親子で図書館へ

来ることが当り前の習慣になって、本が身近なものになる、それがちっとも

大げさでなく毎日の生活に溶け込んでいる、なんていい感じなのでしょうか。

 一方こちらもよく来てくださる親子、今日はお母さんはお買いもの、Sくんが

お父さんとやってきました。お父さんが絵本を読んでいると、おもしろそう、と

RくんやKくんもテーブルの方へやってきました。お父さんの声が館内に

響き、3人の男の子がそれぞれ楽しそうな顔をしてその声に聞き入っています。

 そのうちにもう少しお兄ちゃんのY君がお母さんと登場、Yくんはこの前のおは

なし会の時に堂々と金子みすゞの詩を読んでくれた小学5年生です。

お菓子作りの上手なお母さんの手作りかりん糖のお土産付きで来館です。

2月におはなし会やるけれど、また何か読んでくれる?の提案に「うん」

というお返事があり、今どのおはなしをお願いしようか考えているところです。

そんなことをしているうちに5時が近づき、みんなお家に帰っていき

ます。日が長くなったね、私の方が名残り惜しくなりながら、みなさんを

見送りました。

1月15日(土)

 11日の成人の日を過ぎてから、今年成人式を迎えた生徒(NPOを主催してい

た時の)、まだまだいた、と気付いて立花隆編『二十歳のころ』をまた購入しな

ければ、とまず近場の書店を2,3覗きました。どの本屋さんに行っても

ランダムハウス講談社文庫の棚を探すのに一苦労します。結局店員さんに

聞いて、お目当ての『二十歳のころ』がないか、背表紙のタイトルを目でおうの

ですけれど、このLH講談社文庫は海外の作品を中心に出しているらしく、

日本人作家のもの自体が少ないようで、またまた店員さんに尋ねると

ご注文になります、とどこでも言われやっぱり新宿か、と出かけて行きました。

 紀伊國屋書店はこの前購入してしまったので、他へ行きました。でも

2か所ともご注文になります、とまた言われ、それなら最後の砦?と

ジュンク堂に足を向けたのでした。ジュンク堂へ行くのは初めてです。

開店した当初から店内はどんなだろうか、と興味はありましたが紀伊國屋書店

大好き、のわたしはその紀伊國屋のすぐ近くにあるジュンク堂に行くことが何と

なくためらわれ、これまで入ったことがなかったのです。

品ぞろえも豊富ということですから、きっと『二十歳のころ』もあるに

違いない、できれば3セットはほしいと期待をしてエレベーターに乗り込み

ました。本屋さんというとどうしても児童書売り場が気になり、文庫がある

7階を通り越して先に8階へ。ズラーっと並ぶ書棚はまるで図書館、本の

並べ方も図書館のよう。噂には聞いていましたが「こんなところか」と児童書

コーナーをウロウロ歩き回り、そうだ、今度のおはなし会に使う『ソメコ

とオニ』もあったら買おう、とさらにウロウロ。途中でセンダックの『かいじゅうたちの

いるところ」の図柄の段ボール組み立て椅子を発見し、これは夏に予定している

「センダック展」にぴったり、と購入。それからあすなろ書房の『中学生までに

読んでおきたい日本文学』シリーズを目にし、手に取り、1,2,3,4巻も抱え、

といつものように大荷物の予感。しかけ絵本のコーナーで欲しいものが

ありましたが、見本のみでお取り寄せになりますといわれ、その本はあきらめ

ようやく日本作家、むかしばなしの棚のところで滝平二郎さん絵の『ソメコと

オニ』を手にしました。レジで「無料でご配送しますが。」と案内され

予定外の大荷物を持ってこれから朝日カルチャーへ行くのはシンドイと

お言葉どおり配送してもらうことにしました。児童書にすっかり心を奪われ

肝心の『二十歳のころ』のことを忘れるところでした。レジで下の階でまだ買う予

定と話すと、7階から取り寄せてくれました。しかし、やはり1セットのみ。これで

は一人分しかないなぁ、注文するのなら、家の近くの本屋さんにしようととりあえ

ず1組購入し、本日の本の購入終了。店内での滞在時間約80分。それも8階の

みだったねぇ、と我ながら長居したことにびっくりしてしまいます。

 初ジュンクの感想・・・ウン、図書館みたいでした。本屋さんじゃないみたい。

慣れていないせいかわたしにはちょっと違和感がありました。と言いながら80

分もいたのですが。本の配架、チェックするスタッフが始終動き回っていて落ち

着かない感じもしました。作業の動きが機敏すぎるのかな。本屋さんなのだ  

らもう少しゆったりしてほしい、なんていうのはおかしいでしょうか?

 本を購入したあとはいつも豊かな気持ちになります。気分もよく

朝日カルチャーの荒川洋治さんの講座へ。荒川さんの講座を終えて

新宿駅に向かう時の気分はもっともっと豊かで充実したものでした。

荒川さんの講座「心に残る文学作品」についてはまた日を改めて、と

思います。

1月11日

 昨日成人の日、私は去年脳梗塞で倒れた恩師が入居している介護施設を

訪ねました。お天気はよかったものの、風はこの上もなく冷たく、その風を

身体全体で受けながら、半年前にお見舞いに伺った時の先生の姿を思い

浮かべ、一人テクテクと冬の道を歩きました。私のこと、わかるかなぁ、

何かお話はできるかなぁ。意思の疎通は難しくなってしまったことを前回の

お見舞いの折にご主人からお聞ききし、今だに同じ状況だということを

知っていたため気持ちも何となく沈みがちでした。お元気だったころ

からよく絵本をお贈りして大変喜んでくださっていたので、手に持ったお土産の

紙袋に はお菓子と絵本が一冊入っています。

 外から来ると温室のように暖かく感じられる大広間。その一角に置かれたテ 

ーブルの前に先生は静かにすわっていらっしゃいました。「○○さん、お客さま

ですよ。」声をかけられた先生は私の顔を見ると、「ごくろうさま。」とうなずく

ようにおっしゃり、それからしばらく私のことを見たり、遠くを見たりを繰り返し

なにか伝えたいようにも見受けられ、じっと待っていましたがなかなか

言葉は出てきませんでした。

  そうだ、とわたしは紙袋から絵本の包みを取り出しました。前々から、先生

のお見舞いに行く時にはこの本を、と選んでおいた一冊です。包みを開ける私

の手に先生の手が重なりました。早く見たいわ、という先生の気持ちが伝わっ

て来ます。半透明のページに描かれた黒いシルエット。ページをめくるたびに鮮

やかなおとぎの国のなかまたちが姿を現します。

「きりの もりの もりの おく、そこにいるのは いったい だれ?」でみちびか

れていくおはなし、『きりのもりのもりのおく』(フレーベル館)。その3ページめを

わたしがめくった瞬間、「わぁ!」と先生が歓声をあげたのです。ピクニック中の

クマの親子がなかよくランチ中のページでした。先生のその反応にわたしはもう

ただただ驚き、うれしさでいっぱいでした。

 それから時間をかけて3回ほど繰り返して『きりのもりのもりのおく』

のページを最初から最後までゆっくりとめくり先生とながめました。本を閉じると

先生はその度に表紙に手を置きます。そして3回読み終えた時、不自由な

手で本を持ちあげて、背表紙を確認するようにご覧になりました。先生は

ちゃぁんとわかっていらっしゃるのだ、もうなんにもわからなくなってしまった

のでは、という悲しみは小さいけれども希望へと変わり、絵本を持ってきて

本当によかったと『きりのもりのもりのおく』に感謝しました。

 こんな場面が待っていようとは夢にも思わなかったのですが、先生に

絵本のちからはすごいんだよ、と教えられたような気がします。

先生はこんなふうにご不自由になってしまわれましたが、そんな

状況でありながらも、わたしに大切なことを伝えてくださっている、と

感じ、一人帰り道涙があふれました。

 

 

 

 

 

 

 

1月8日(土)

 お正月休みが明けたばかりですが、また3連休になります。10日(月)は

 成人の日、この祝日が1月15日と定まらなくなってからどのくらいになる

 のでしょうか。

 うちの上の娘は来年成人式、去年の春ころから振袖のレンタルの案内が

 次から次へと送られて来ています。一日に2,3通届くこともあり、びっくり

してしまいます。時々電話もかかってきます。「うちは浪人中なので今来年の

成人式どころではありません。」と答えると「受験が終わってからだともう

次の年度の方対象になってしまいますから・・・。」と返ってきます。

着物は誂えるものではなく借りるもの、着付け、写真もセットになっていて

格安、返却は宅配で、とお手頃な値段でお手軽に成人式の準備ができる

便利な時代になったということなのですが、何となく抵抗がある私のような親は

少数派と言われてしまうのでしょうか。娘の振袖の準備はやはり

受験が一段落してからゆっくり、お得でなくてもいいや、と思っているところで

す。それより何より今は希望校にパスしてくれることを願うばかり・・・。

 さて年賀状で知人の息子さんが今年成人と知り、新年早々また

紀伊國屋書店へ行きました。立花隆+東京大学教養学部立花隆ゼミ

による『二十歳のころ』を、私は成人のお祝いに、とこれまでにも何度か贈り物

にしてきました。1998年に新潮社から出版されたこの単行本は今は

絶版で文庫本2冊組になっています。「調べて書く」こと、「達意の文」

を書くことがいかにこれから大切であるか、そして20歳前後という時期が

自分を発見する大切な時であることを、各専門分野で活躍している人の

20歳のころのことを学生たちが自分でインタビューしてまとめる、と

いう作業を通して立花さんは学生たちに伝えたのです。その記録が

まとめられた一冊。20歳のころ、自分は何をしていただろうか、何に

興味を持って、どんな本を読んでいたのだろうか、それは時間を経て誰かに伝

えられるほどのものだったのか・・・、もうとうに二十歳、それどころか不惑も

とっくに過ぎた大人にもおススメの本です。ですから、今回用意したプレゼントは

20歳の息子さんだけではなくお母さんにも是非読んでほしい、そう思っている

わけです。 ”お母さんのNさーん、このブログ読んでますか?”

『二十歳のころ』はまた本の紹介欄で取り上げたいと思います。

1月4日(火)

 この年末年始は28日(火)、4日(火)となったためお役所の暦と

 一緒のスケジュールでうちの図書館も動きました。

 今日平塚へ来て先ずチェックしたのはポストと室内の植物たち。

ここ数年年賀状を年内に書いたことがなく、2日に30枚程度、昨日

20枚程度、今朝また15枚、とまだまだこれから200枚以上を出す

予定です。届いた年賀状を見て書く、という何とも失礼な対応なの

ですが、どうにも時間のやりくりがつかずもう毎年こんな調子になって

います。遅れて届きますがごめんなさい。

  室内のお花の方はほとんどの鉢が一週間何とか元気だったのですが、

 シクラメンがまたクタっとしていました。あわてて窓際の日当たりのよい

ところへ出しました。茎がだんだん立って来たので安心です。

 今年初日の開館、何人来てくれるでしょうか?冬休みで田舎から

まだ帰らない親子が多いのかな。 年末に紀伊國屋書店で買ってきた

本を書棚に置いて来館者を待っています。店内で目に付いたのは

『もちの絵本』農文協から出ている「つくってあそぼうシリーズ」の中の

一冊です。おもちの歴史、種類、つき方、焼き方、食べ方、保存の仕方、と

いろいろな角度からおもちの解説がされています。おもちを焼くのは

短気な人のほうがいいそうです。この絵本もさっそく書架に並べまし

た。おもちが好きな人『もちの絵本』を開いて、おもちのことをもっと

知っておもち博士になってくださいね。