12月3日(火)

年賀状、お歳暮、お節、クリスマスと12月はとにかく忙しくてあわただしくて気持ちが焦る月です。

先日新聞に入っていたデパートの広告を眺めていたら、これは絶対に図書館に飾りたい、図書館にピッタリ、という品を見つけ翌日朝一番に買いに行きました。売れてしまったら大変、と朝から騒いでいたら、「そんなにすぐに売れないでしょ、だいたいいくらするの?高いんじゃないの。」と娘にまたあきれられました。それは聞こえないふり。そしていそいそとデパートへ。

ビレロイ&ボッホの「クリスマストイズメモリー フェアリーテールブック」という陶器の置き物です。オルゴール付きキャンドルホルダー。大きく開かれた本の上、右のページにはヘンデルとグレーテル、おばあさん、お菓子の家(キャンドルが隠されている)、左のページはツリーとサンタさんと男の子、サンタさんは男の子に本を読んであげています。大きなツリーを外すとこちらにもキャンドルが隠されていて小さく開いたツリーの穴から灯りが漏れるようになっている仕組み。へやの明かりを消して早くキャンドルに火をともしたい!!24日クリスマスイブは丁度図書館開館日の火曜日なので、この日にキャンドル点火したいな、と思っています。今グランドピアノの上に置いてあります。黒いカバーの上だとますます映えるよね、と一人満足しています。みなさんも見に来てください。

11月30日(土)

大学で司書コースの授業を持つようになって3年目、後期は「児童サービス論」(現在は「読書と豊かな人間性」となっています)です。読書について、児童図書館、児童サービスの歴史、児童書について、子どもの読書能力の発達・・・と進み、本と子どもをつなぐというテーマに入ってきました。

毎年授業の中で本の帯を作ることにしています。まずみんなで同じ本を読んでそれぞれが思い思いの帯を作ります。一昨年も昨年もそして今年もあまんきみこさんの『ぎんいろのねこ』をとりあげました。たくさんあるあまんさんの作品の中でも私はこの『ぎんいろのねこ』が大好き。心がキュンとする個所がいくつもあります。お話の中に読み聞かせをする場面もあって司書コースの授業にはピッタリです。

今年もステキな帯がたくさんできあがりました。またそれを京都のあまんさんへご報告しようと思っているところです。

さてさてそのあまんきみこさんに以前から是非是非講演を、とお願いしていたのですが、とうとうその夢がかなって来年春(3月?)来ていただけそうです。

『おにたのぼうし』、『ちいちゃんのかげおくり』、『車のいろは空のいろ』など教科書でもおなじみのおはなしをたくさん生みだしているあまんさんに来ていただける、と思うと気持ちはもう来年の暖かい春にと飛んでいくようです。

日程が決まり次第チラシを作成し、大勢のみなさんにきていただけるように準備したいと思います。

10月26日(土)

いつまでも続いた猛暑の次は度重なる台風到来、気温の急激な変化に驚きながら慌てて衣替えをしたりしているうちに十月もあと少しとなりました。

この一週間は特に忙しく動き回りまわる毎日でした。まず藤沢での林望さんの『源氏』の講座、「葵の上」のお話は大変面白く、高校の授業では絶対に聞かれない大人の源氏物語の講義です。受講生は年配の方々が多く、私から見れば人生の大先輩ばかりが集うクラス、という雰囲気で講師の林先生も年上の方を前に大変だったかな?月一の三回講座、残りの二回が楽しみなのはもちろんです。

今週に入って横浜で中川李枝子さんの講演会がありました。火曜日、図書館開館日でしたがご紹介役をしたこともあって図書館は休館、朝から上大岡へ出かけました。主催は「子どもと本の教室」。歴史は古く、スタートは昭和50年という組織です。待ち時間にこの「子どもと本の教室」のこれまでの毎年の活動記録を見せていただきびっくり。ガリ版刷り、手作り感いっぱいの報告レポートです。

この38年間に講師として招いた児童文学関係の方々のリストがすごいのです。活動記録の表紙は第一号からなんと熊田千佳慕さん。講師の欄は長崎源之助さん、加古里子さん、神沢利子さん、赤羽末吉さん、松居直さん、寺村輝夫さん、三木卓さん、西本鶏介さん・・・・。中川李枝子さんも何回か登場しています。横浜市港南区とボランティアがチカラを合わせて長年にわたって子どもたちと本をつなぐために勉強会を続けてきたその歴史は素晴らしく敬服します。

さて参加者は子育て真っ只中のお母さんが中心でしょうか。みなさん、メモを取りながら、うなづきうなづき熱心に中川さんの言葉に耳を傾け、あっという間の2時間でした。

私も久しぶりに中川さんにお会いし講演後の昼食会にも参加させていただきました。中川さんのお話は何回伺ってもいつお聞きしても心にグッとくるものがあり勇気づけられます。若いお母さん方はなおさらのことでしょう。

木曜日、阿刀田高さんからご案内をいただき、朗読会へ。これは阿刀田さんの奥さまがもう10年も続けていらっしゃる一年に一度の朗読会です。森ミドリさんも朗読なさり、演出は鴨下信一さんという豪華な顔ぶれです。芥川龍之介、向田邦子、阿刀田高作品の朗読。絵本の読み聞かせには読むほうも読んでもらう方も慣れていますが、長めのお話を耳から聞く、というのはまた違った味わいがあるものです。自身で黙読するのとも違い集中して聞く作業は結構大変だということも発見でした。大好きな向田邦子の作品も読んだことがなかった芥川龍之介の作品も大変面白く、阿刀田さんの短篇3つはどれも物語の不思議な世界に引きずり込まれました。

こんなふうに今年の秋は読書週間にふさわしい私の毎日です。

2013年9月28日

昨日から大学の後期の授業が始まりました。

「第一回目はガイダンスって学生は思っているんだから、いきなり本題に入って長々はやったらマジひいちゃうよね・・」何日か前の夕御飯の時、娘たちからそんなことを言われ、去年のレジュメを引っ張り出してじゃあどうしようか、と久しぶりの大学での講義のことを考えました。初回はいつもアンケート形式の出席票を用意するので、今回は『はだしのゲン』閲覧規制問題についての意見も書く欄を設けてみました。朝日新聞の記事には大きく「司書の専門性」という見出しもあり、授業にはピッタリでした。これからそのアンケートに学生たちがどんなふうに答えているかをゆっくり読むところです。

午後の授業を終え、新宿へ出ていつものように本屋さんへ立ち寄り、その後は紀尾井ホールへ。小菅優ピアノリサイタルでベートーヴェンのソナタ4曲をタップリ聞きました。相変わらず小菅さんの見事な弾きっぷり(この弾きっぷりということばがピッタリ)あれだけ弾けたら気持ちいいだろうなぁ。ああいう風になりたい!!このところすっかりピアノに触れることもなくなって、この前しばらくぶりに40分ほど好きな曲をポロンポロンと弾いただけで指や腕が痛くなってしまったのには我ながら情けなかった、と妹にも話したところでしたから小菅さんの演奏にまたえらく感動し刺激を受けたのでした。それにしても小菅さん、アルゲリッチのような貫禄が出てきてこれからますます楽しみ♪♪

来週は葉加瀬太郎のヴァイオリン、年内に内田光子、ツィメルマンと大好きなピアニストのリサイタルも次々に控えています。ターナー展にも行く予定、リンボウ先生の源氏講座にも行くし・・・。

暑い暑い夏のあとにようやくやってきた秋、身も心も豊かになって新しい年を迎えるぞ、ともう気持ちは来年にまで及んでいます。

ブログは去年の冬以来?こわごわ(パスワード大丈夫かな、と)画面を開きました。また再開しようと思います。

12月30日(日)

今、こうやって今日の日付けを打ちながら明後日には新しい年がまたやってきてしまうんだ、と実感。「また来てしまう」という表現に年齢が出ているぞ。自分でもこれはいけない、と思うのですが、それが率直な年末、晦日の感想です。

とにかく忙しい一年でした。図書館の活動は前半に展示会や講演会等の企画が集中し、後半は一般財団への移行申請の書類を整えるために時間を多く取ることになり、大きなイベントは来春3月までお預けにしました。でもその準備は秋から始まり、本来の図書館の仕事以外の講師や審査員の仕事なども加わってアレコレしているうちに冬になり、年末になったという風です。

今年はネット販売の古書店花布(あかいはなぎれ)もスタートしてお客さまからの注文も少しずつ来るようになって、こういうことに慣れていないので結構大変、いまだに手際よく処理ができずにオタオタしています。でもうちを利用してくださるお客様はみなさんとても寛容な方が多く救われています。申し訳ありませんが我慢してお付き合いください。

さて、昨日来春の企画のチラシの原稿ができてきました。今回は色刷りのチラシ、今までよりも豪華版にする予定です。内容も充実させることはもちろん、でこれから本格的な準備が始まります。3月14日~23日まで「マイコレクション・ガリバー旅行記展」を開催。会期中の17日(日)には作家の阿刀田高さんをお招きしてお話をしていただくことになっています。詳しくはこれからのHPやチラシをご覧ください。

図書館は来年8日から開館します。今日は冬休み中で閉館ですが、お飾り、水やり、片づけ、等の雑用があるため平塚へやってきました。久々にブログも更新し大好きなブタさんの顔をひととおり眺めて、これから帰ります。

今や壁際にズラリとならぶブタ、ブタ、ブタの面々。この12月にまた一気に仲間が増えました。この前、いつも親子で訪ねてくれるOさん一家のRくんが大きな袋を前後にゆさゆさ振りながら門をはいってくるなぁ、とカウンターから見ていたら、「おたんじょうび、おめでとう!」とその大きな袋を手渡されました。中から登場したのは、まぁかわいい、おおきなブタのクッション風ぬいぐるみ。どうして知ってたの? ここ数年、12月はそんな訳で新しいブタくんたちがならぶことが多いのです。でもいったん並んでしまうと、そのニューフェイスさんたちもまるでずっと昔からそこにいるような顔をして偉そうに?しているから参ります。そこがまたかわいいところか・・・。

あたりも暗くなってきました。そろそろ帰らなくちゃ。今年もなかなかブログの更新ができませんでした。来年もきっとこんなペースになるのかな、でもが、本の紹介だけは毎週必ず、と心がけます。

11月24日(土)

 スロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催される「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」の2011年展へ行きました。

板橋区立美術館を中心に毎回いろいろなところを巡回しています。2年前の前回は丁度平塚の美術館へやってきたので簡単に見に行くことができました。

今回、浦和→千葉→高浜→足利と回ります。チラシに大きく紹介されているグランプリ作品を是非見たいと思っていたのですが浦和へ行きそびれ、千葉にも行けず、半分あきらめかけていたところへJBBYからの送付物。その中に次の開催は高浜市のかわら美術館、というチラシがはいっていました。招待券も。

高浜市ってどこ?チラシの表のすっかりお馴染みになっているグランプリ作品をまた眺めてからチラシをひっくり返して場所を確認。高浜市は愛知県、それも年に何回か行っている刈谷市の近く!とわかって「行くぞ」と気合が入りました。

新幹線に乗ってはるばるとやってきました「かわら美術館」。美術館のすぐ横の駐車場は満車です。入り口ではデ―ンと二体のシャチホコがお出迎え、金色ではなく茶色い焼き物のシャチホコです。もちろん先ずここで一枚記念撮影。

さぁ、念願の原画をゆっくり見て回ります。グランプリ作品、韓国のチョ・ウンヨンさんの『はしれ、トト!』チラシで見るよりもずっとずっと迫力満点、なんていうのは当たり前ですが、美しくダイナミックに走る馬の姿に圧倒されます。すごい!!この作品の原画を見られただけでもここまで来た甲斐があったというもの、歓声を上げたい気分でした。日本人の作品もたくさんありました。

どれも受賞作だけあっていい作品です。でもやっぱり『はしれ、トト!』でしょ、とその他の作品の紹介はここでは割愛します。

上の階で同時に開催されていたしかけ絵本の展示もなかなか楽しいものでした。下へ降りてきて当然ミュージアムショップへ。ここで費やした時間もかなりのもの、しかけ絵本、展示会の絵はがき、等をいっぱい買いこみました。なんといっても今回の図録、いいです。一番後ろのページ、ブラティスラヴァの町並み、夜景がポップアップになっています。

 12月1日には広松由希子さんの講演会もあるようです。行きたいけれど、土曜日そんなにお休みできないし・・・。先ずは広松さんにメールを送っておこうかな。

11月3日(土)

 今日は文化の日でした。土曜日と祝日が重なってちょっと損した気分の人たちも多いのかもしれません。

 さて、誠文堂新光社から出ている雑誌(seibundo mook)『イラストノート』これは描く人のためのメイキングマガジン。プロを目指す人を意識しての編集になっているようですが、その最新号NO.24(11月1日発行)は~特集 まるごと絵本のつくり方 ~です。

 巻頭には中村佑介さんと林静一さんの対談、その後絵本特集がたっぷり。三部構成の第一部はまるごと絵本のつくり方。絵本づくりに携わる人たちへの取材を通して、新しいロングセラーを生み出すためのヒントを探っています。第二部は今注目の5人の絵本作家さんたちが登場。第三部 絵本を届ける人たち・・出版社、ギャラリー絵本学校、公募展等の紹介です。

第一部ではまず“『ぐりとぐら』はなぜ人の心をつかむのか?”で始まります。つい2,3日前中川李枝子さんとお電話でお話ししたばかりだったのですが、またこの話題でまたお便りしようかな・・・。

それからそれから第三部の絵本ギャラリー一覧(絵本関連の展示を行っているギャラリー、美術館、図書館、喫茶店、BARなど)のページにうちの図書館が載っています。全国46のリストの中に加えていただき何と光栄なことか、恥ずかしくないようにもっともっと充実した「子どもブックサーカス」にしなくては、とちょっとプレッシャーも感じています。

 秋も深まり、本が手離せない季節でもあります。このところ新しい絵本の出版も盛んで本屋さんへ行くたびにアレコレ買いこみ、ニコニコして帰ってくることが多い日々です。食欲よりも読書欲の秋!!ウーン、幸せ。

10月6日(土)

  毎週更新している絵本の紹介、数えてみると次で100冊目になります。、最初のうちは週末になるとまた書かなくちゃ、と締め切りをかかえている気分でちょっと大変でしたが、そのうちに慣れてきて、本を選び文を書くことがルーティン化され、楽しくなってきました。

  この作業で一番悩むのが本選びです。いったんコレ、と決まってしまえばあとは流れに乗って書く、という感じで毎週来ています。今回は100冊目、今週に入ってこの節目にどの本にしようかとさんざん迷っていました。ブタの本?最近出たばかりの本?まだ取り上げていない基本のキ的な絵本?自宅のパソコンの横には常に出番を待っている絵本が積まれてはいるのですが、なかなか決まりませんでした。

 そうこうしていると、どうしたわけか、「何悩んでいるの?楽しく書ければ、何でもいいじゃない。100冊目だからって気負わなくてもさ。」と自転車に乗った王さまが突然現れました。そうしたら、もうこの間買ってきたばかりのこの王さまの本しかないじゃない、100冊目は寺村輝夫さんの『王さまめいたんてい』とすんなり決まって今文章を書き上げました。これからHPアップ用に加工して公開ということになります。

 101冊目からまたコツコツと貯金するような気持ちで本の紹介を書いていこうと思います。時々覗いてみてください。

10月2日(火)

いつまでたっても暑い暑いと汗をふきふきペットボトルを手放さずに動く毎日です。せっかくの十五夜は台風で見られず、その台風の後これで一気に秋がやってくるのかと思ったらまだまだ・・。

 さて9月後半は国際子ども図書館のTさんのお誘いで2つの楽しい催しに行ってきました。

 まず絵本『泥かぶら』出版記念パーティ。劇団「新制作座」のオリジナル演目(脚本真山美保さん)をくすのきしげのりさんが文、絵は伊藤秀男さんが担当し瑞雲舎から刊行されました。くすのきさんも徳島からお出ましになり、『おこだでませんように』と『泥かぶら』を自ら朗読してくださいました。

 くすのきさんは元小学校教諭の方です。朗読の前にお聞きしたお話がとても印象的でした。子どもの本を書く仕事は、みんなの心に窓を作ることだと思っています、とおしゃっていました。子どもだけでなく大人の心にも窓を作る、その窓からはいろいろなものが見える、視線によって見えてくるものが違う、大人も子どもの目線で窓から外を見るとそれまでとは違ったものがみえてくるはず・・。

子どもたちに「大きくなったら何になりたいか?」と尋ねると、「お花屋さん」とか「芸能人」とか「野球選手」という答えが返ってくるが、質問の仕方を変えて「どんな人になりたいか?」と聞いてみると、例えば、「優しい人」、「人の役に立つ人」、「イチロウみたいな人」というふうに子どもたちは答えてくる。どんな人になるかというのは生き方に関わってくる。イチロウみたい、ということは単に野球選手ではなく、イチロウのように努力して世界で活躍する、そういう意味になる・・・、というようなお話がありました。また言葉の大切さ、大きさについても触れ、「本」という世界が与えるチカラについても熱く語られました。

会場は劇団「新制作座」、全国から集まった絵本セラピスト、出版関係の方々、とたくさんの人たちで賑やか、活気があふれていました。

 もうひとつは週末に紀伊國屋サザンシアターで行われたお芝居「山鹿灯籠夢日記」・・・てくてく座特別しつらえ寸劇仕立(浪曲入り)・・・の観劇です。絵本作家と出版社スタッフからなる「てくて座」。座長は飯野和好さん、浪曲入りですからもちろん飯野さんが中心になって準備なさったのでしょう。とにかく楽しい、おもしろい、にわか仕立ての役者さんが勢ぞろい(ささめやゆきさん、中川ひろたかさん、工藤有為子さん、あべ弘士さん、長谷川義史さん、山本孝さん、長野ヒデ子さん、大友剛さん、石井聖岳さん、おくはらゆめさん)しての大熱演に会場は大爆笑の連続。おひねりがバンバン飛びます、屋号があちこち飛びかいます。そして舞台上の絵本作家さんたちもまんざらではない様子がまたいい感じ。山鹿灯籠踊り保存会の皆さんも舞台で踊ってくださり、しばしうっとり。股旅もの世話もの、笑ってちょっぴり切ない人情時代劇、と口上どおりのお芝居でした。

これは震災支援を目的として絵本作家のみなさんが結集して行われたものです。会場入り口ではそれぞれの作家さんのイラスト手ぬぐいやサイン本が販売され、これも支援のひとつとなっていました。高楼方子さんの手ぬぐいも見つけました。手ぬぐいを6本購入し少し支援のお手伝い。みなさんの温かい気持ちが伝わる楽しい企画でした。

9月6日(木)

暑い暑いと言っているうちに9月になりました。まだまだお日さまは元気に勢いよく私たちを照りつけ、その強い日差しを浴びながら汗をかきかき動き回る日が続いています。

8月は下中菜穂さん講師による紋、切り紙遊びに続き、多摩美大をこの3月に卒業した峰若菜さんの卒業制作作品「立体えほん 森のなか」展を開催。屏風のような大きな立体えほんにはしかけも施され、今までの絵本のイメージを変える作品、みなさんに好評でした。次の作品が楽しみです。

静岡にご実家のある知人から芹沢珪介美術館で絵本展をやっているようだから時間があったらいかがですか、とメールが届きました。パリで仕事をする方なので、きっとご本人は見ることなくまたパリへ戻ってしまったのでしょう。さっそく行ってみました、芹沢珪介の絵本展。

松本の民芸家具にもぴったり、と母が好きで毎年型絵染のカレンダーを伊東屋で買う、というのが当り前のように昔から続いている我が家。玄関に飾ってあるカレンダーを月が変わると新しいものに入れ替えるのが私の役目になったのはいつごろからだったか。カレンダーを納める額は松本民芸にお願して作ってもらったものです。

そんなことで小さいころから親しんでいる芹沢さんの型絵染ですが、美術館を訪れたことはありませんでした。1981年に建てられたというこの美術館は登呂遺跡の敷地内にある静岡市立の美術館です。

平日、東名高速をスイスイと走って(運転は私ではなかった!走っていただき)到着。先ずは腹ごしらえ、美術館の前にある安部川もちのお店「やまだいち」でお蕎麦と安部川もちを食べました。古い建物のこのお店がなかなかいい感じで芹沢さんもご贔屓だったようです。

登呂遺跡の入り口にある竪穴式住居と高床式倉庫、「昔習ったよねぇ。」と懐かしく見学してからお目当ての美術館へ。

入口には型絵染の大きめな団扇が置かれています。暑いので扇ぎながら見学を、ということなのでしょう。気に入った柄の団扇を手にした瞬間からもう芹沢ワールドがスタートです。

“芹沢珪介が特に好んだものの一つに「本」が挙げられます。自らも絵本を作ることを好み・・・”と展示のチラシを読んで、芹沢さんが本にもチカラを入れていたことを知りました。第一部 芹沢珪介の絵本、第二部 芹沢珪介の収集品より~世界の書籍~という構成になっています。

 『絵本どんきほうて』『法然上人絵伝』『益子ひがえり』『沖縄風物』『諸職道具紋尽し』・・・どれも限定部数のものばかり、そして言うまでもなくすばらしい作品ばかり。

芹沢さんは焼き物や沖縄に興味を持っていたことを知り、それを作る過程、職人や道具、それからその土地の暮らしに目を向け作品にしているを知りました。カレンダーやのれん、座布団カバーのデザインでお馴染み、なんていうこれまでの自分の勉強不足をちょっと反省しながら一つ一つ見学しました。見ごたえがあり時間もたっぷりかかりました。

建物もステキで、静岡に来たら是非芹沢珪介美術館へ行って、ついでに登呂遺跡、という感じでしょうか。美術館のお隣には芹沢珪介の家もあり、日曜日と祝日に公開されています。今回は平日だったので外から眺めるだけで残念。パンフレットを見るとますます残念、残念。1987年に東京蒲田からここ静岡に移築されたこの自宅、もともとは宮城県北部から古い建物を移築したものだそうで、芹沢さんお気に入りの空間が広がっている様子がパンフレットとからも伝わってきます。

この展示会は9月2日で終了しました。売店でこの展示会のために用意された絵はがきセットを買いたいと思ったらすでに完売でした。こちらも残念。次の企画がまたすぐ始まるようです。「身にまとうよろこび~芹沢珪介の着物と世界の民族衣装~」詳しくは美術館のHPをどうぞ。

 さて、この展示会を教えてくださった知人に「行ってきました」と報告のハガキ、もちろん芹沢さんの型絵染の絵ハガキでパリへ送らなくっちゃ。