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ちいさなトガリネズミの表紙画像

『ちいさなトガリネズミ』
みやこしあきこ 作

偕成社

 

ここには働き者のトガリネズミを主人公とする3つのお話が詰まっています。

まず一つ目のお話、『トガリネズミのいちにち』をのぞいてみましょう。

トガリネズミは6時に起きて、トイレに行き、コップ一杯の水を飲みます。朝ごはんはお気に入りのお皿にのせたはちみつビスケット3枚。それからお昼ごはんとハンカチをかばんに入れ、愛用のブラシで毛を整え、えりまきをして、忘れ物がないか確認し、7時に出かけます。

乗る電車はいつもと同じ7時8分発、乗り合わせる人もいつも同じです。車中で新聞を読み、中央駅で乗り換えます。トガリネズミは歩くのも好き、お天気の良い日はひとつ前の駅で降りて歩きます、犬を数えながら。

こんな風に仕事場、お昼休み、帰宅時、と何も特別なこともなく過ぎて行くトガリネズミの一日。でも今日はとってもいいことがあった、とトガリネズミは嬉しそう。それは・・・。

様々な場面でのトガリネズミのキチンキチンとした真面目さに読者も何だか背筋が伸びるような気持ちになります。大人の読み手は自分の毎日と重ね合わせたり、比べてみたりして、自分の暮らしを振り返ってみるかもしれません。

もう二つのお話は『トガリネズミのあこがれ』、『トガリネズミのともだち』。どちらも静かな中に優しさと温かさがあふれています。みやこしさんの描くちいさなトガリネズミの世界、モノクロの絵のページもとっても味わい深く印象的です。

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