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カメレオンのかきごおりやの表紙画像

『カメレオンのかきごおりや』
谷口智則 作

アリス館

主人公のカメレオンくんの仕事はかきごおりやさんです。

屋台を引いてみんなに美味しいかき氷をふるまいます。

カメレオンくんのかきごおりは一味も二味も違う不思議なかきごおり。

世界を旅しているカメレオンくんは、いろいろな国のシロップを用意しています。そのシロップの色もさまざまです。

まずやって来たのは、元気のないサルくん、気分が落ち込んでいるようです。

するとカメレオンくんはかきごおりに黄色いシロップを選びました。「レモンにバナナ、はちみつをつかった“たいようかきごおり”をめしあがれ。」とサルくんにすすめました。サルくんは元気いっぱいになって大喜び。

次のお客さんは顔を真っ赤にしたシロクマくんです。夏バテしているシロクマくんには甘いソーダと海の塩を使った青い“うみかぜかきごおり”がピッタリ、と用意します。

目がはれているコアラさんにはぶどうとブルーベリーシロップの紫色の“よあけかきごおり”。

こんな風にそれぞれの希望に合ったかき氷を用意するカメレオンくんの体もそのたびにみんなのかきごおりと同じ色に変わります。

でも夜になると真っ黒になって、氷の仕入れに忙しい冬には真っ白から透明になり、自分は消えてなくなってしまうのでは、自分の色は一体何色なんだろうと悩んでいると・・・。

カメレオンくんの相手を思う優しさを感じながら、ひとつひとつのかきごおりの名前がすてきと感心しながら、虹色のシロップをかけたかき氷を夢見ながら、自分のこともちょっと見つめ直したり・・・。

暑いこの夏に是非どうぞ、とおすすめの一冊です。

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