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とらとほしがきの表紙画像

『とらとほしがき』
パク・ジェヒョン 再話・絵  おおたけきよみ 訳

光村教育図書

表紙に登場するトラは随分いかつい怖い形相をしています。そのトラとほしがきがどう結びつくのでしょうか。

山奥に住む大きなトラが昼寝から目が覚めて、うまいものを食おうと山から下りてきました。山のふもとの小さな家の牛小屋にいる牛を食べてやろうと思った時、小さな家から子どもの泣き声がしました。

お母さんは赤ん坊をあやしながら、「坊や、いい子ね、泣くのはおよし、坊やの泣き声を聞いて、オオカミが来るわよ。」と言っています。ところが赤ん坊は泣きやみません。トラは赤ん坊はオオカミを怖がらないのだ、と思います。

次にお母さんは「坊やの泣き声を聞いてクマが来るわよ。」と言いますが、やっぱり赤ん坊は泣きやみませんでした。

それから、なんとお次にあがったのはトラでした。「坊やの泣き声を聞いておそろしいトラが来るわよ。」それでももっと激しく泣き続ける赤ん坊に、自分はちっとも怖い存在ではないのだとトラはがっかりします。

とその時、お母さんが「坊や、いい子ね。泣くのはおよし。さあ、干し柿よ」と干し柿を与えると、赤ん坊はピタリを泣き止んだのでした。

この様子にトラはびっくり、干し柿とは自分よりも強くておそろしいやつにちがいない、と山へ急いで帰ろうとしますが・・・。

トラが活躍するのかと思ったら、干し柿が大活躍するユーモアあふれる物語です。今年は寅年、年の初めの読み聞かせにおススメの韓国の昔話です。

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