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お月さんのシャーベットの表紙画像

『お月さんのシャーベット』
ペク・ヒナ 作  長谷川義史 訳

ブロンズ新社

暑い暑い夜のお話です。アパートの住人はそれぞれの部屋でエアコンをビュンビュン、扇風機をぶんぶんさせて何とか眠ろうとしていました。

このアパートの班長さんはしっかり者のおばあちゃんです。外でぽたぽたと音がするので何かしらとベランダから空を見上げておばあちゃんはびっくり。

なんとお月さんが溶けてしずくが空から落ちてきています。おばあちゃんはお月さんのしずくを受け止めなくちゃとたらいを持って外へ出てきました。

おばあちゃんはこのお月さんのしずくで冷たいシャーベットを作ろうと考えます。冷蔵庫もフル回転です。

すると、アパート全体の電気が突然消えました。電気の使い過ぎで停電になってしまったのです。

困った住民のみんながおばあちゃんの部屋へやって来てお月さんのシャーベットをご馳走になりました。

シャーベットのお蔭で暑さが遠のき、みんなはエアコンも扇風機も止めて、窓をあけて眠りにつき、冷たく甘い夢を見ました。

その後、おばあちゃんの部屋のドアをたたく音がしました。今度は何の音かと思ったら、月に住むうさぎが杵と臼をもってやってきました。

月がなくなって、住むところがないと困っています。そうか、お月さん完全に溶けちゃったのか。そこでおばあちゃんは・・・。

ペク・ヒナさんが描くファンタジックな世界、今回は動物たちが紙で作られていてページの中で立体的に登場します。こんな夜があったらステキかもしれないなぁ。

長谷川義史さんによる関西弁の訳もほんわかと優しい響きで、寝苦しい真夏の夜にぴったりの一冊です。

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