こんな本 あんな本

本のしょうかい

二平方メートルの世界での表紙画像

『二平方メートルの世界で』
前田海音 文  はたこうしろう 絵

小学館

二平方メートルの世界?それはどんなところ?どのくらいの広さ?

一坪は約3、3平方メートル 畳で考えると2畳分、という数字からその広さを想像することができます。

そしてそれは入院中の9歳の少女海音(みおん)ちゃんがカーテンでぐるりと囲まれたベッドで過ごす時の広さ、といえばもっと具体的にイメージできます。

でもそこでの毎日がどんなものなのか、病気と闘う海音ちゃんの心の中を本当に理解するのは難しいことです。治療の苦しみ、将来への不安、孤独感、家族への思い、学校へのあこがれ・・・さまざまな気持ちに押しつぶされそうになりながら闘病は続きます。

海音ちゃんのことばから小児病棟で入院生活を送るたくさんの子どもたちの声がストレートに伝わってくるような気がします。

ある日、ベッドに寝ころんでこれから始まる検査を待っていた時、海音ちゃんは偶然あるものを見つけました。その発見は海音ちゃんを励まし、新しい力を与えてくれます。その発見とは一体何だったのでしょうか。

これは脳神経の治療で3歳の時から入退院をくりかえしている前田海音ちゃんが3年生の時に書いた作文をもとに完成した作品です。感染症流行の中、海音ちゃんとはたこうしろうさん、編集部の方々が打ち合わせを繰り返し出来上がりました。

海音ちゃんは現在札幌の小学校に通う5年生。入院中の生活を通して、ふだんあたりまえと思っていることが実はとても大切で幸せなことなのだということを感じているそうです。そして将来の夢は院内学級の先生になること、とテレビのインタビューで答える海音ちゃんの前向きで明るい表情がとても印象的でした。

矢印バックナンバー

▲このページのトップへ