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本のしょうかい

なぞなぞの表紙画像

『なぞなぞ』
安野光雅 作・絵

福音館書店

表紙をめくると、たぬきときつねがお出迎え。「なぞなぞのせかいへようこそ」と言っているのかな。かしこまっているようでもあり、おどけているようでもあり、何ともひょうきんな二匹に誘われて、まずは第一問。

左のページになぞなぞが示されています。「かぼちゃの ばしゃに のって おしろの ぶとうかいに いったのは だれでしょう」

右のページに答えの候補が並びます。 「しらゆきひめのおかあさん」「したきりすずめのおばあさん」「シンデレラ」かんたん、かんたん。先へ進みましょう。

「りゅうぐうじょうに まねかれて おとひめさまに たまてばこを もらったのは だれでしょう」「うらしまたろう」「えびすてん」「にんぎょ」 これもかんたん。ところで「えびすてん」ってだあれ?。

次、「すもうを とるのが すきで きゅうりが だいこうぶつなのは だれでしょう」 「ロビンフッド」「きんたろう」「かっぱ」

あれ、ちょっと待って、きんたろうはきゅうりすきだっけ?むずかしいぞ。

こんなふうに次から次へとおはなしの中ではよく知っているけれど実際には本当に見たことはないな、という架空の人や神さまが出てきます。

文字だけで問いかけられたらすぐに答えが分かってしまってつまらないかもしれないなぞなぞが、安野さんの描くひとつひとつの絵を眺めながら解いていくととってもおもしろい!

正解ではない絵からも、この人どんな人?何に出てくる人?といろいろ立ちとまって想像が広がり、なかなかページも進まなくなります。

右のページに答えがないぞと首をかしげて次のページをめくると、ちゃんと正解があってホッとしたり、最後のなぞなぞはみんなの大好きな人が答えになっていたり、さすがに安野さん、温かいユーモアがあふれる一冊です。

一番最後にはこの本に登場した想像上の人たちの解説もついています。

昨年クリスマスイブにお亡くなりになった安野さんからの最後のプレゼント?のこの絵本は福音館書店「こどものとも」の2021年3月号です。

以前このコーナーでも紹介した『しりとり』も今年2月にハードカバー本となり、安野さんの最新刊として刊行されました。

安野さん、すてきな作品をたくさんありがとうございました。みんなで感謝しながら改めてご冥福をお祈りしましょう。

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