こんな本 あんな本

本のしょうかい

ゆめみのえの表紙画像

『ゆめみのえ』
山村浩二 作

福音館書店

江戸の中頃、絵師として活躍した鍬形蕙斎(くわがたけいさい)さんを主人公にしたお話です。

ケイサイさんは動物を描く時、その動物をまずじっと見つめます。じっとよく見ることでその動物と心を合わせます。そしてその姿を見事に写し取っていきます。

ケイサイさんの手によって描かれた動物や小さな虫たちの絵はまるで生きているようで、いまにも動き出しそう。

みずどりを見ているうちに自分も水の中に入っているような気持ちがしたり、カメを見つけるといつの間にか自分にも前足後足があってすいすい泳いでいるように感じるケイサイさん。

ある時、庭の木にとまっていたタカと目が合いじっと見つめ合います。そして自分もタカになって空を飛ぶ夢を見ました。

するとケイサイさんは「昔からじぶんのことを思っているものがゆめにあらわれるといわれている・・・、あのタカはおれのことをおもっていたのだな」「あのタカもおれのゆめをみただろうか」とつぶやきます。

またある時はコイの絵を描きながら眠ってしまい、自分がコイになり釣りあげられお城に運ばれ、まな板の上のコイになってしまって大あわてする夢を見て、実際にお城へ行ってみると・・・。

ケイサイさんの生き物に対する温かい気持ちと絵師としての情熱が伝わってくるようです。

どの動物も「略画式」で柔らかい少ない線でシンプルに描かれています。ケイサイさんによると略画式とは「形によらず精神を写す、形をたくまず略す」描き方とか。

作者の山村さんは「模写をしているうちに一見単純な線が動きと立体感を絶妙にとらえていることに気づかされた」そうです。ストーリーは上田秋成の『雨月物語』の中のひとつをもとにしたケイサイさんの自伝風フィクション。

大人にも是非、とおすすめの福音館書店「こどものとも」2021年2月号です。

矢印バックナンバー

▲このページのトップへ