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しぶがきほしがきあまいかきの表紙画像

『しぶがき ほしがき あまいかき』
石川えりこ 作・絵

福音館書店

最初は小さくて緑色だった我が家の庭の柿の実がいつの間にか大きくなりました。

台風の強風にも負けずに落ちなかったがんばりやの実たちは黄色からオレンジ色へと変わってきました。

さて、柿には木からもいでそのまま食べられる甘柿とまちがって食べたら口の中が大変なことになってしまう渋柿がありますね。でも渋柿はおいしい干し柿に変身することができます。どうやってあまーい柿にするのでしょうか。

これはちえちゃんの干し柿づくりのお話です。ちえちゃんはおばあちゃんに教わりながら、おにいちゃん、おねえちゃんといっしょに干し柿づくりに挑戦しました。

おとうさんに手伝ってもらって先ず竹で柿を取る道具をつくります。それから柿の皮をくるくるとむき、ひもに通します。枝をひもに引っ掛けるのがむずかしいちえちゃんはハンガーにつるしました。

カビが生えないように柿たちを熱湯にくぐらせるのも大事な作業です。こうして準備ができるとあとはおいしくなあれ、と祈りながら自然の力に任せます。

日当たりのよい軒先にズラリと吊るされた柿、風に揺れる柿、夕焼け空とおんなじ色の柿を眺めて、早く甘くならないかと楽しみに待つ三人。

雨が降ってカビが生えたり、夜中の柿どろぼう退治を考えたり、完成するまでには心配もありましたが無事干し柿が食べごろを迎えました。

みんなの愛情とお日さまの魔法でできあがった干し柿の味は格別のことでしょう。

石川えりこさんの描く子どもたちの表情は優しく、柿の実、夕焼けのオレンジ色があたたかくとても印象的。心まで染まってしまいそうです。

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