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ヒギンスさんととけいの表紙画像

『ヒギンスさんととけい』
パット・ハッチンス 作  たなかのぶひこ 訳

ほるぷ出版

ある日、ヒギンスさんはやねうらべやで時計を見つけました。なかなか立派な時計です。でもこの時計の時間は果たして合っているのか、と心配になりました。

どうしたものかと考えた末、ヒギンスさんはもう一つ時計を買ってくることにします。そしてその時計を寝室に置きました。

新しい時計がちょうど3時になった時、ヒギンスさんはやねうらべやの時計が合っているかどうか確認しにいきました。するとやねうらべやの時計は3時1分をさしています。

あらら、これではどちらの時計が正しいのかわかりません。またまた時計を買いに出かけ、今度は台所に置きました。

この時計が4時10分前になった時、またまたやねうらべやへ急ぐヒギンスさん。やねうらべやの時計は4時8分前、次に確認した寝室の時計は4時7分前を指しています。

納得いかないヒギンスさんはまたもや新しい時計を買って玄関に置きます。ところが各階に一つずつ置かれた時計はみんな少しずつ時間がずれていて、ヒギンスさんはお手上げ状態になりました。

いったいどうしたことか、とヒギンスさんが最後の助けを求めにいったのは時計屋さんでした。時計屋さんは懐中時計を持ってヒギンスさんのおうちの時計を回って確認してくれました。

どの時計も懐中時計の時間とぴったり同じです。するとヒギンスさんは懐中時計の素晴らしさに感激し、懐中時計も買ったのでした。

それからというものヒギンスさんはいつも懐中時計で時間を確認し、おうちの4つの置時計はみんないつも正しい時間を指すようになったそうです。めでたし、めでたし、ではあるのですが、あら?・・・

ヒギンスさん、時間はつねに先に進んでいること、最初っからどの時計も正しかったということ、おわかりになりましたかな?

小さい子どものようなヒギンスさんの素朴な疑問と行動を楽しく描いたハッチンスさんの傑作です。

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