本のしょうかい
『大根はエライ』
久住昌之 作・絵
福音館書店
『大根はエライ』というタイトルに「そんなことないってば」と言っている、大根の恥ずかしそうな表情。まず表紙を見ただけで、謙虚な大根にグッと来てしまいます。
さて、どうして大根がエライか、どんなふうに大根はエライのか、久住さんは様々な角度から大根を分析していきます。
まず、その風貌、真っ白でまじめでおとなしい感じに好感が持てます。一年中売っていて安いというところも魅力的。そしてなんといっても食べ物の世界では大活躍だよ、と久住さんは大根を大絶賛。
たとえばおろした大根はシラス、なめこ、いくら、納豆、つきたてのおもちにもばっちり合う!そして焼き魚、卵焼き、てんぷら、お蕎麦、ハンバーグやステーキにだって寄り添っちゃう!こんなにいろいろなもののお供をできる大根はすごい、エライ!
さらに大根は煮てもおいしく、おでんには欠かせません。ブリ大根、ふろふき大根と味がしみた大根は最高ですね。
漬け物の世界でも、たくあん、べったら漬け、みそ漬け、千枚漬け、桜漬け、と主役をこなし、ぬか漬けではキュウリ、ナス2大スターのかげにひっそりしているところがまたステキ。
大根は他にもお刺身のツマ、切り干し大根とすばらしい活躍をします。葉っぱだって変身術をたくさん持って、食卓に現れます。
栄養的にもバッチリで、美容にも健康にも良い、とくればもう言うことなし。「大根役者」「大根足」なんていうことばも大根の良い面が反対の意味につかわれるようになってしまったのだそうです。
こんなに大活躍し、みんなに愛されているのに、大根はいつも控えめでつつましいのです。そこがまた大根のいいところなのです。「大根はエライ!」とみんな久住さんに大賛成すること間違いなし。