
本のしょうかい

『おなじそらのしたで』
ブリッタ・テッケントラップ 作・絵 木坂涼 訳
ひさかたチャイルド
「ぼくたちは みんな おなじ そらの したで いきている ここでもとおくでも」
美しい詩のような文と落ち着いた色合いで描かれた美しい動物たちに誘われ、読み手は絵本の世界に引き込まれていきます。
私たちはいろいろな場所で誰かと出会い、遊び、自由に歌い、時には嵐に見舞われるけれど、それはみんな同じ空の下でのできごとだよ、とテッケントラップさんが静かに温かく語りかけます。
「ぼくたちは そらを みあげる そして おもう おなじ この そらの したで みんなが いきているってことを ここでも とおくでも」
こんな文章で締めくくられる最後のページではたくさんの動物たちがみんなで夜空の月を見上げています。
「自分はひとりじゃない」と勇気づけられたり、心の中に「平和」ということばとが自然に浮かんできたり、読み手がしみじみとした気持ちになるようなラストシーンです。
ハードカバーの表紙から型抜きしかけ。それが全ページにほどこされアクセントになっています。
なんといっても描かれた動物たちの目が魅力的。大人もたちまちファンになってしまいそうな一冊です。