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『そんなことって、ある?』
奥田継夫 文  西村繁男 絵

サンリード

ジョギングの用意をしているぼくを見て、縁側で碁を打っていたおじいちゃんが、みんなで走ろう、と提案。おとうさん、おかあさん、妹、犬のタロウも加わってお宮さんまでの往復二キロを走ることになった。

みんなも着替えてまずは準備体操、一番張り切っているのはだれかな。

ぼくを先頭にスタートしたけれど、三百メートル行かないうちにおじいちゃんがお隣のおじいちゃんと立ち話でストップ。続いて五百メートルあたりでおとうさんはお腹が痛いとしゃがみこんだ。

八百メートル行ったところでおかあさんはスーパーのセールに目が行き、その先のお店屋さんの前で妹は飛んでいるちょうちょうを追いかけて道をはずれてしまった。

ようやくお宮に着いたと思ったら犬のタロウも・・・。

ぼくだけがお宮の裏を回って、きちんとコースを走っていたのに、他のみんなは途中で脱線した場所から復路に参加し、気づけばおじいちゃんが先頭でおばあちゃんの待つ家に到着、もちろんビリはぼく、という結果になった。

えっ!そんなことって、ある?

おばあちゃんが用意しておいてくれた冷たい紅茶をみんなで飲みながら、おじいちゃんがひと言、「また走ろう」だって。

えっ!そんなことって、ある?

ちょっと昔の雰囲気のジョギングコースの家並み、街並みに季節感たっぷりの楽しい要素がたくさん描き込まれていて、あー、やっぱり西村繁男さんだな、とうなずける一冊です。

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