本のしょうかい
『ひとつのねがい』
はまだひろすけ 文 しまだ・しほ 絵
理論社
ある町はずれの小路に立っている街灯のお話です。
街灯はもうずいぶんと歳を取っていました。気づくと体はすっかりやせ、一本足もよぼよぼ、いつ倒れてもおかしくないな、と自分でも思っていました。
こうやってみんなを照らしていられるのももうそんなに長くはない、でもその前にどうしてもかなえたいと思っていることが街灯にはありました。
それは何年も願い続けていたこと、自分も星のようなあかりになってみたい、という願いでした。
夜になって細々とした光を放つ街灯の周りに虫たちがやってきました。
街灯は自分の願いを虫たちに切々と訴えます。でも虫たちはバカなことを言っている、と相手にしてくれません。それでも希望を捨てずにいるとある晩・・・。
読み手はどんな時も希望を見失わない街灯の姿に勇気づけられます。がんばってほしい、と街灯を励ましながら読み進んでいくと、とうとうその願いがかなう場面がやってきます。そして願いがかなった時、街灯は静かに自身の一生を閉じるのでした。
『泣いた赤おに』や『りゅうの目のなみだ』でおなじみの浜田廣介さんが大正8年(1919年)に書いたお話が2013年に初めて絵本化された作品です。