本のしょうかい
『はじめてのオーケストラ』
佐渡裕 原作 はたこうしろう 絵
小学館
12月のある日曜日、小学一年生のみーちゃんは鏡の前でお出かけの用意をしています。素敵なシフォンのドレスを着たみーちゃん、この日をとっても楽しみにしていました。
ママと二人で向かう先は、コンサートホールです。パパは先に行って待っています。それもステージの上で。そう、みーちゃんのパパはオーケストラのまとめ役、指揮者なのです。
パパもこのみーちゃんのオーケストラデビューの日を楽しみにしていました。みーちゃんが初めてコンサートホールの扉を開け、オーケストラの奏でる迫力ある生演奏に出会う日なのですから。パパはとっておきの『第九』をプレゼントしようといつも以上に張り切っているようです。
合唱団、楽団員がステージに登場し、大きな拍手わきおこるとパパがステージに登場しました。会場はシーンと静まり返り、いよいよ演奏がはじまります。
みーちゃんの目はステージにくぎ付けになり、耳をすまして音楽に集中します。小さな音、爆発するような響き、なめらかな音、とがった音・・・パパはオーケストラから思いのままに音を引き出す魔法使いのよう。
ベートーベンの音楽に、オーケストラの演奏にみーちゃんはすっかり魅了され、「いままでで いちばん すてきなよるだったね!」と大満足。
世界的な指揮者、佐渡裕さんの音楽ってすばらしいというメッセージがはたこうしろうさんの絵と共に軽やかに、さわやかに伝わってくる作品です。
さぁ、子どもも大人もどんどんコンサートホールへ足を運びましょう!