
本のしょうかい

『およばれのテーブルマナー』
フィリップ・デュマ 絵と文 久保木泰夫 訳
西村書店
「ふたたび招待してもらいたい食いしん坊に捧ぐ」とエルメス家の4代目社長の息子であるフィリップ・デュマが子どもにもわかりやすいように描くテーブルマナーの絵本が登場しました。
テーブル、フォーク、ナイフ、グラスの使い方から始まり、マナー違反の例や模範的なふるまいの見本がひとコマひとコマわかりやすいイラストと共に解説されていきます。
悪い見本については5段階(単純な不作法の見本、行儀の悪い見本、とても行儀の悪い見本、ものすごく行儀の悪い見本、最悪な不作法の見本)に分けられそれぞれマイナス1点からマイナス5点まで点数で評価するようになっています。
たくさんの感心しない例が挙げられ、「パンの上一面にバターをぬる(一口大にちぎったパンにぬらなければならない)」「食べ物を大皿から滑らせて自分の取り皿に取る」「唇をきれいにふかないで飲み物を飲む」「ナプキンで鼻をかむ」等々。さてそれぞれどの段階の悪い見本だと思いますか。
模範的なふるまいの見本や特定の食べ物(ポタージュ、半熟卵・・・)についての記述もあります。フランスの画家バルテュスにも認められるデッサン力を持つデュマさんが描く大人でも十分学ぶことができる中身の濃い絵本です。
本を開くと「わたしの5匹のブタたちに捧ぐ」という言葉もあり、デュマさんが自身の子どもたちのためにこの絵本を書いたことがわかります。ウィットの効いたステキなテーブルマナーの本です。