
本のしょうかい

『そらいろ男爵』
ジル・ポム 文 ティエリー・デデュー 絵
中島さおり 訳
主婦の友社
バードウォッチングが大好きなそらいろ男爵。今日も双眼鏡を片手に空と同じそらいろ色にぬった飛行機に乗り鳥の後を追いかけています。
ある日、地上で戦争が始まりました。そらいろ男爵ものんきに鳥を眺めている場合ではありません。ご自慢のそらいろ飛行機を迷彩色に塗り替えて敵をやっつけに出かけます。
砲弾の代わりに男爵が飛行機から落としたものは、なんと自分の書斎から持ち出した分厚い辞書や百科事典でした。
男爵は次々に自分の蔵書を投下し続けます。なかなか戦いは終わらず飛行機に搭載してきた最後の一冊、ロシアの小説も的には当たりませんでした。ところがそれを拾った敵の隊長は部屋に閉じこもり戦いは一時ストップ。
男爵は考えます。残っているのは大切な自分のお気に入りの本ばかりですが、面白い本を兵士に向かって投げ続ければ・・・。そして最後に男爵が思いついた戦争をやめさせるためのとびっきりの名案とは・・・。
「ペンは剣よりも強し」そらいろ男爵ばんざーい!!
この作品は第一次世界大戦から100年目にあたる2014年にフランスで刊行されサン=テグジュぺリ賞(絵本部門)に輝きました。そらいろの飛行機に乗って自分も世界中のみんなこの絵本を空から届けたい、そんな気分になるとびっきりステキな一冊です。