本のしょうかい
『300年まえから伝わるとびきりおいしいデザート』
エミリー・ジェンキンス 文 ソフィー・ブラッコール 絵
横山和江 訳
あすなろ書房
西欧の最古のデザートの一つと言われているフルーツ・フール。フールとはフランス語の「フーレ(つぶす・おす)」に由来している押しつぶしたもの、という意味のことばです。
果物のピューレを泡立てたクリームと混ぜて冷やした夏にピッタリのデザート。なあんだ、とても簡単にできそう、と思うでしょ。
でもね、300年前は違いました。ミキサーも冷蔵庫もなかった時代、どんなふうにして作っていたのでしょうか。そして200年前、100年前は?
ブラックベリー・フールをめぐる4つの時代の4つの家族の4つの物語。それぞれの時代の背景、暮らしの様子、人と人とのつながりの変化をブラックベリー・フールというデザートを通して眺めることができます。そしていつの時代も変わらないデザート作りの最後のお楽しみが描かれ、思わずニコリ。
ジェンキンスさんとブラッコールさんがこの一冊のためにたくさんの時間をかけていろいろなことを調べ、準備をし、二人が心を込めて丁寧にこの作品を完成させたことがあとがきから伝わってきます。ブラッコールさんはブラックベリーを裏ごしした液で見返しに紫色の色づけをしたそうです。ステキ!