
本のしょうかい

『みんなでつくる 1本の辞書』
飯田朝子 文 寄藤文平 絵
福音館書店
タイトルだけ見ると、どんな内容?と思いますが、飯田朝子さんが著者とくればそう、“数え方”の本です。「本」と数えるものにはどんなものがあるか、どういう時に「本」を使うか、これはなかなか難しくまた興味深いテーマです。
飯田さんが数え方の研究、特にこの「本」という助数詞について調べてみようと思ったきっかけは留学生の友人からが「日本語の数え方ってむずかしい。中でも「本」がわからない・・・。」といわれたことだとか。そんな小さな質問から始まった助数詞「本」の研究。調べていくうちにさらにこれは?あれは?と疑問は枝分かれし、広がっていきます。
飯田さんは学生にアンケートをとったり、専門家に質問したり(たとえば、柔道の勝負を「1本」というのはどうして?とか)、そうして調べてみると「1本」と数えているものは350種類以上もみつかったそうです。調べる、ってこういうことか、とその過程がよくわかります。そして調べていく楽しさが伝わってきます。
さいごに「まだまだあるはずです。あなたもぜひ、みつけてみてください。」という飯田さん。読み手も参加している気持ちになり、タイトルの“みんなでつくる”を実感します。
イラストはJTの「大人たばこ養成講座」でもおなじみの寄藤さん。子どもたちにわかりやすいのはもちろんのこと、大人たちにもなるほど、と勉強になる福音館「たくさんのふしぎ傑作集」の中の一冊です。