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本のしょうかい

よじはん よじはんの表紙画像

『よじはん よじはん』
ユン ソクチュン 文  イ ヨンギョン 絵
かみや にじ 訳

福音館書店

少し昔の韓国のいなか、まだみんなのおうちに時計がなかったころのおはなしです。

「おじさん おじさん いまなんじ?」隣りに住む小さな女の子がよろずやさんのおじさんに聞いています。女の子はお母さんに時間を聞いてくるようにたのまれたのでした。お店の奥の部屋でラジオの修理をしながらおじさんが答えます。「よじはんだ」。

「よじはん、よじはん」と言いながらお家へ帰ろうとすると、お店の前で売り物のニワトリが水を飲んでいます。ちょっと見ていこう、と女の子。今度はありの行列を見つけました。ありさんたち、何をどこへ運んでいくのかな。「よじはん よじはん」と忘れないように唱えながらも女の子はお家とは反対の方向に進んでいきます。そこで次は赤トンボの群れに出会い、またまたついて行くとそこにはオシロイバナがたくさん!!ちょっと蜜をすってみよう・・・。

こうして道草を重ねて女の子が帰ってきたのは日がとっぷり暮れたころでした。さっき時間を聞いたおじさんも仕事を終えてお店の前で夕涼み、電柱の灯りもともりました。

「かあさん かあさん いま よじはんだって」おうちに入ろうとする女の子を縁側で赤ちゃんを抱っこしながらおかあさんはじっとみつめます。お家の中ではもうとっくにおにいちゃん、おねえちゃんたち、夕ご飯をたべ始めています。

韓国の田園風景をバックに小さな女の子のあどけない道草の様子が何とも可愛らしく描かれています。1940年に書かれたユンソクチュンさんの穏やかでゆったりした詩と1960年代をイメージして描いたイヨンギョンさんの絵がゆっくり心にしみてくる絵本です。

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