本のしょうかい
『あなたがうまれたせかい』
ウィリアム・ホール 文 ロジャー・デュボアザン 絵
ほしかわなつこ 訳
童話館出版
「あなたが うまれがせかいは、すてきなところです。」どんなふうにすてきか・・・、絵本の登場する小さなあなたに、ウィリアム・ホールさんがゆっくり優しく語りかけてくれます。
朝、おひさまが顔を出してみんなにほほえみます。おひさまはみんなに平等にほほえんでくれます。あなたにはもちろん、いぬにも、ねこにも、ありにも、みみずにも。
おひさまはみつめています。あなたを、木を、りすを、そしてスクールバスを。時にはさんさんとてらしてくれます。あなたを、あなたのおかあさん、おとうさんを、でんしんばしらを、タクシーを、れっしゃを、しゃしょうさんを。おひさまのひかりは、きらきらとあなたに、えほんに、カーテンに、つみきに そそがれます。
かぜも吹いてきます。あなたに、せんたくものに、ちいさなごみに、たこにも、ぴゅうぴゅうと。そのうちにあまつぶがおちてきました。のはらのくさをぬらし、バッタをぬらし、かたつむりをぬらします。みんな平等にぬれていきます。強い雨がざぁざぁといろいろなものにふってきました。
やがて雨があがり、ゆうがたになるとおひさまはみんなに長いかげを作ってほどなく夜のやみがおりてくるのです。そうしておつきさまの「おやすみなさい」はあなたの家に、木に、スクールバスに、ふくろうにとどきます。あなたのうまれたせかいはこんなふうに一日がすてきに流れていくのです。
ホールさんのことばとデュボアザンさんの柔らかいタッチの絵がこのすてきな世界をいっそうすてきに感じさせてくれる一冊です。