本のしょうかい
『オオカミがとぶひ』
ミロコマチコ 作
イースト・プレス
びゅうびゅう、びょうびょううなる風、ゴロゴロドンドンなっているカミナリ。外は嵐?ぼくはそろそろ眠る時間だけれど何だか落ち着かない。
あのすごい風の音はオオカミがとびまわっているから、カミナリの音はゴリラが胸をたたいているから・・・。
眠る前に読むお気に入りの本を探してみたけれど、またまたこうもりがいたずらしてもっていってしまった・・・。
大きな声で歌ってみればぼくの口からトリがいっせいはばたいて、いい声で気持ちよく歌えたよ。今度はピアノを弾いてみる。そのうち雨が降ってきた。チータがやってきたからだ。そうして夜になった。夜はクジラがつれてきたんだ。布団に入ってもなかなかねむれないぼく。どうしてねむれない?。
今にも本から飛び出てきそうな迫力いっぱいの動物たちが次から次へと登場。そのダイナミックさに圧倒されながらミロコさんの世界にどんどん引き込まれていってしまう、エネルギッシュな一冊です。嵐の夜の子どもの心の中ってこんな想像でいっぱいなんだ、とちょっと衝撃さえ感じます。
「強くてやさしい原始のこだまみたいだよ」帯にかかれた荒井良二さんのことばのとおり心にビンビン響くこの作品は、第18回絵本大賞に輝くミロコミチコさんの絵本デビュー作です。