本のしょうかい
『セレンゲティ大接近』
アヌップ・シャー 著
尾澤和幸 訳
日経ナショナルジオグラフィック社
目の前でシマウマの大群が大移動していく、ゾウの鼻が伸びてくる、ライオンが牙をむいて迫る、ヒヒがつぶらな瞳でじっと見つめてくる、頭上をフラミンゴがいっせいに飛び立つ・・・。
写真家アヌップ・シャーさんが野生動物の宝庫といわれるアフリカ、タンザニアのセレンゲティ国立公園、ケニアのマサイマラ国立保護区の野生動物に大接近、いえ、大大接近した写真集。
ゾウやシマウマの皮膚のゴワゴワ、ハイエナのクリクリした愛らしい目、移動するヌーの立てる土ぼこり、水しぶき。圧倒されます。アヌップさん、どうやったらこんな写真が撮れるの?
もしアフリカのサバンナで人間も野生動物の一部として生活していたら・・・。きっと周りの動物たちがこんなふうに目に入ってくるのでしょう。そして自分よりも強いお腹の空いた動物に出会うことは間違いなく、危険と隣り合わせの毎日。のんきに自分以外の動物観察をしている場合ではないはず、なんていうことを思いながら次のページは?とワクワク。
“自然の中で生きていく”野生動物の姿に改めて心を動かされる、迫力ある作品が連続する一冊です。アフリカの野生動物を20年近く追い続け、撮り続けているヌップ・シャーさんの写真からたくさんのことが伝わって来ます。