本のしょうかい
『おうさまのおひっこし』
牡丹靖佳 作
福音館書店
“たくさんの にもつをつんだ にぐるまが ずらずらと ずらずらと ずらずらと。” このながーい行列、おうさまのおひっこしです。ガタリ ゴトリ ゴトン ゴトン、と二頭のロバがゆっくりと荷車を引いていきます。
おうさまはどうしておひっこしすることになったのでしょうか。そしてどこへおひっこしするのでしょうか。それはね・・・・。
おひっこしの道中この一行は街中でいろんなものに出会います。
困っている人たちを目にするたびに家来に指示を出すおうさま。ちょっととんちんかんな六人の家来はアレレ?と思うような対応ばかり。でもとっても大らかなおうさま。両者のやりとりは本当に楽しくほほえましく、おもわずにっこり。次はどんな展開かな、とワクワクしてきます。
常に家来を信頼し、国民のことを考えるおうさまはステキ。読み手はありがとう、という気持ちになって、いつの間にか自分も家来になったつもりで七人といっしょにおひっこしの先をめざしているのです。あんなにあったおひっこしの荷物も新しいお城に着いたときには・・・。そしておうさまが出した指示とは・・・。
作者はアメリカで美術の勉強をしてきた牡丹靖佳さん。2年の歳月をかけて誕生したというこの絵本は福音館「日本傑作絵本シリーズ」の中の一冊です。