
本のしょうかい

『すてきなあまやどり』
バレリー・ゴルバチョフ 作 なかがわちひろ 訳
徳間書店
ずぶぬれになったブタくんがヤギくんのおうちにやってきました。帽子も洋服も、まきばでつんできた花々、バスケットまでビチャビチャです。「どうして木の下であまやどりしなかったんだい?」やさしくタオルを差し出すヤギくん。
ブタくん、ちゃんとあまやどりはしたのですがぬれてしまったのです。次から次へやってくる動物の仲間たちといっしょに大きな大きな木の下であまやどりしたのです。
どんな仲間がやってきたかって?ブタくんもいれて11種類の動物、総勢56匹。どんな動物がどんな順番で何匹ずつ木の下へ走って来たかは、本を開いて確かめてみましょうね。急な雨が降ったらどこであまやどりすればいいのか、動物たちはみんな知っているのですね。その頼りになる大きな大きな木に「ありがとう」と読み手からもお礼を述べたくなります。
この本の魅力の一つはなんと言ってもそれぞれの動物たちの表情です。ドーンと見開きページに描かれたみんなであまやどりをしている様子は本当に楽しそう。雨、やんでほしいはずなのにウキウキしているようにも見えます。仲良く仲良く、楽しく楽しく“すてきなあまやどり”。
ヤギくんのおうちで着替えをし、ヤギくんとお茶をのみ、お片付けをすませ、ゆっくりソファーでくつろぎながらあまやどりのことを話すぐブタくん。二人が大親友だということがどのページからも伝わってきます。それにね、ブタくんがあまやどりしたのになぜずぶぬれになってしまったのか・・・。その理由からもブタくんがヤギくんをどんなに好きなのかがわかるはずです。
わたしもいっしょにあまやどりしたかったなぁ。でもそう思った時にはあなたもすっかりお話の中に入り込んでいて、ブタくんや大勢の動物たちといっしょに木の下から空を見上げ、あまやどりの仲間になっているのかもしれませんよ。