
本のしょうかい

『ヨセフのだいじなコート』
シムズ・タバック 作 木坂涼 訳
フレーベル館
ヨセフさんのお気に入りの大事なコート、着古して擦り切れてボロボロになって今はつぎだらけ。
みんなだったら、このコートどうする?大好きでさんざん着たけれど、もうおしまい、ごくろうさまと捨ててしまいますか。ヨセフさんは違います。さぁ、おはなしはここから始まりますよ。
ヨセフさんは、つぎはぎだらけのコートのすそを短く切りました。コートはジャケットに変身。でもじきにこのジャケットも擦り切れて、つぎは袖とすそを切ってチョッキに仕立て直しました。こうやって最初のコートはどんどん小さくなっていきます。さて最後はどんなものになったのかな。これはイディッシュ語の「オーバーコートをもっていた」というユダヤの民謡をアレンジして作られたそうです。コラージュの技法を使ったカラフルでゆかいなこの絵本、穴あきの仕掛け絵本になっています。楽しく読み終えた後、ものを最後まで大切に使うことってステキだなと自然に思えてきます。
表紙カバーももちろん穴あきです。カバーの折り返しに登場するタバックさんと木坂さんの写真にも注目。そしてカバーをはずしてみてください。ヨセフさんが手に持っているのは・・・。
作者のタバックさんはアメリカニューヨーク州在住のデザイナー。絵本のイラストもたくさん手がけており、この『ヨセフのだいじなコート』でコルデコット賞を受賞しています。