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トラのじゅうたんになりたかったトラの表紙画像

『トラのじゅうたんになりたかったトラ』
ジェラルド・ローズ 文・絵   ふしみみさを 訳

岩波書店

あなたのおうちにはじゅうたんがありますか?トラのじゅうたんありますか?もしそのじゅうたんがじゅうたんではなくて本物の生きているトラで、夜になるとウロウロとお部屋を歩き回りみんなの食べ残しを食べていたら・・・どうする?

インドのジャングルに暮らす一匹のトラさん。もうかなりのお歳になったのか、えさも自分ではとることができなくなって、トラさんの体は骨と皮ばかり。夜になるとよく宮殿へでかけては窓から部屋の中を覗きこみ、いいなぁ、僕も仲間に入りたいなぁ、としみじみ思っていたところ、ある日仲間に入るいいアイデアがひらめきました。

宮殿の広間に敷かれているトラのじゅうたんに自分がなってしまえばいい、そう考えたのでした。美味しいご馳走が食べられれば、王さまの家族みんなの体重がのっかってもなんてなんのその、子どもたちのおもちゃになって振り回されてもガマン、ガマン。何だか臭いぞ、とゴシゴシ洗われてかんかんでりのお日さまのもと洗濯ひもにぶらさげられても泣いたりしません。じゅうたんのふりをするのも大変です。

いつか生きているトラだとわかってしまうのでは、とドキドキしているトラさんといっしょに読んでいる私たちもドキドキ。そして、ある晩とうとうこのトラさんに本物のトラとして大活躍する場面がやってきたのでした・・・。

ジェラルド・ローズさんの描くトラさんはもう最高。じゅうたんになりすます哀れな表情、くったりした様子、そしてそれとは対照的な、今にもとびかかりそうな躍動感あふれる本来の姿は迫力満点。色使いにも豊かな色彩の中に渋さがある感じのステキな特徴があります。

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