本のしょうかい
『とんぼ』
チョン・ジョンチョル 詩
イ・グヮンイク 絵 おおたけきよみ 訳
岩崎書店
やわらかな秋のひざしを浴びながら、とんぼがお花の下でしずかに死にました。どこから集まってきたのでしょう、たくさんのありたち。
ありたちによるとんぼのとむらいが始まりました。「たるらん、たるらん」のべおくりの鈴の音が流れてきます。いつの間にかとんぼのからだはいくつもの小さな小さなまぁるいかたちになってそれぞれのありに運ばれていきます。
一匹のとんぼの死とそれに集まるありたち。私たちがふだん道ばたで良く見る光景です。それを生命のつながりととらえて幻想的で美しい世界へと発展させたこの絵本は「詩の国」韓国で生まれました。
1925年当時14歳だった少年時代のチョン・ジョンチョルさんの詩に画家のイ・グヮンイクさんが独特の版画の手法をほどこして完成したみずみずしい光に満ちた印象の一冊。訳者のおおたけきよみさんがすてきなあとがきを書いています。