こんな本 あんな本

本のしょうかい

マッチうりの女の子の表紙画像

『マッチうりの女の子』
ハンス・クリスチャン・アンデルセン 作
   スベン・オットー 絵  乾侑美子 訳

童話館出版

雪が舞う大晦日の夜、もう街もすっかり静まりかえっています。みんな暖かい部屋の中で新年を迎える準備をしているころ、行く当てもなく裸足でとぼとぼと通りを歩く女の子がいました。すりきれたエプロンにはたくさんのマッチが入っています。女の子はこのマッチを売らなければおうちに帰れないのです。でもマッチは一本も売れません。

女の子が凍えそうな手で売り物のマッチをすると、暖かな炎の向こうに一瞬だけ現れた暖炉やご馳走、大きな大きなクリスマスツリー。ツリーのろうそくが消え長い光のすじになって空へ流れた時、女の子は自分をかわいがってくれたたったひとりのおばあさんのことばを思い出します。「星がながれるとき、一つのたましいが、神さまのもとへいくんだよ。」「今だれかが死ぬんだわ。」その流れ星が自分であることに女の子は気がついていたのでしょうか。女の子は微笑みながら大好きだった懐かしいおばあさんに導かれて天に召されるのです。

作者のアンデルセンは常に貧困と死について考えていました。あまりにも有名なこのお話は貧しい少女時代を過ごしたお母さんのことが題材になっていると言われています。そのお話の世界をさらに深く心に響く作品に描きあげたのは、小さい頃からアンデルセンが大好きだったという同じデンマーク出身のオットーです。オットーは『おやゆびひめ』『みにくいあひるのこ』などこのほかのアンデルセンの作品もてがけており、デンマークを代表する絵本作家・イラストレーターです。1978年には国際アンデルセン賞の画家賞に輝いています。

矢印バックナンバー

▲このページのトップへ
84O d y ],[ jp"