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三びきのコブタのほんとうの話の表紙画像

『三びきのコブタのほんとうの話』
ジョン・シェスカ 文  レイン・スミス 絵 
いくしま さちこ 訳   

岩波書店

“だれだって、『三びきのコブタ』のはなしは しっている。いや、しっているつもりに なっている。ここで みんなに ちょっとした ひみつを おしえてやろう。じつをいうと、だれも ほんとうの はなしを しらないんだ。なぜって、おれの いいぶんを きいたやつは まだ ひとりも いないからさ。”

いきなりこんなセリフを吐いて登場するオオカミくん、アレクサンダー・T・ウルフ(通称 アル)。おれがあの三びきのコブタに出てくるオオカミだよ、とお話が始まります。アルの話によると、オオカミが悪者になってしまったのはすべては大好きなおばあちゃんのためのバースデーケーキ作りにお砂糖が足りなかったことと自分のくしゃみのタイミングの悪さ(良さ?)から始まったというのです。

さあ、みんなでじっくりアルの言い分に耳をかたむけてみましょう。自分たちの知っている『三びきのコブタ』のお話をもう一度思い出しながら、そしていろいろなお話でいつも悪役を引き受けてくれているオオカミくんたちのこと思い出しながら・・・。

今までの『三びきのコブタ』はなんだったの?「エッ? エエーッ!」楽しくびっくりするお話の展開です。決してオオカミを憎めなくなるひょうきんなアル(シェスカさん)の語り口とスミスさんのセンスが光る絵、デザイン。どのページにもウィットにあふれた遊びが(でもちょっと怖い場面も!)隠されているところもこの作品の大きな魅力です。まず表紙、タイトルの下に堂々と“A.ウルフ談”です。さらに中トビラではシェスカさんは“聞き手”となっています。参った!!一ページ一ページよーく観察してこのオオカミさんの立場に立った『三びきのコブタ』をたっぷり楽しんでください。

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