こんな本 あんな本

本のしょうかい

メアリー・アリス いまなんじ?の表紙画像

『メアリー・アリス いまなんじ?』
ジェフリー・アレン 文  ジェームズ・マーシャル 絵 
小沢 正 訳   

童話館出版

あひるのメアリー・アリスさんはでんわサービス会社でお仕事しています。「ピッ ピッ ポーン。ただいま じこくは、8じ 15ふん 10びょうでございます。クワッ!」町のみんなはこのメアリーさんのきびきびと弾むような声で告げられる時刻案内が大好き。メアリーさんもこの仕事が大好き。会社をお休みしたことがないほどです。

ところがところが、困ったことにメアリーさん、どうもお風邪にかかってしまったようです。お仕事休みたくないけれど、社長のめんどりさんは「へいき、へいき。」とメアリーさんをお家へ帰します。メアリーさんがよくなるまで代わりの人を頼めばいい、と簡単に考えていたのでした。ところがところが、困ったことにメアリーさんの代わりをやりたい人はたくさんいてもメアリーさんと同じようにお仕事ができる人はいなかったのでした。

どんな人が代わりを務めようとしたかって? 例えばへびのエリック・・気味の悪いヒソヒソ声では失格です。犬のジェイク・・大ざっぱな性格なのか正しい時刻を告げられず役に立ちません。アルマジロのチャーリー・・目が悪くて時計がよく読めずこれまた正確ではありません。他にも僕が、私がとやってきたハイエナのコニーやビーバーのメイもメアリーさんのようにはいきません。問い合わせてくる町のひとたちはみんな「メアリーはどうした?しっかり者のメアリーは。」とぶつぶつ言いだしたり、心配したり。

やっとめんどり社長もメアリーの素晴らしさに気づいたようです。メアリーじゃなくちゃダメ、ってね。ようやく風邪が治って仕事場へやってきたメアリーさんをめんどり社長は温かく迎えてあげました。大好きな仕事を誇りと責任感を持って続けることはとても大切、そしてすてきなことだとメアリーさんから教わったような気がしてくるおはなしです。

これは子供向けの作品は初めてというジェフリー・アレンさんと多くの絵本、挿絵を手がけているジェームズ・マーシャルさんコンビの楽しい一冊。本の扉に「アーノルド・ロベールへ J・マーシャル」とあるのも“アレッ?”楽しい!!

矢印バックナンバー

▲このページのトップへ
84O