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じごくのそうべえの表紙画像

『じごくのそうべえ』
田島征彦 作    

童心社

このおはなしの主人公、軽業師のそうべえさんは今高ーい松の木と向こうの酒蔵の屋根とを結んだ綱の上。「とざい とうざい。 かるわざしの そうべえ。 いっせいいちだいの かるわざでござあい。」これからまさしく一世一代の綱渡りがはじまるところです。下ではたくさんの人が見ています。おかみさんは三味線をかかえて「ぺペン、ペンペン、ぺーン」と景気づけ。息子も観客代集めの入れ物を持ってお手伝い。

ところで軽業師って何をする人?「軽業」を辞書で引いてみると“つなわたり、はしご乗り、玉乗りなどの曲芸、その見せ物”とあります。英語で言うとアクロバット。

さて、その曲芸が仕事の軽業師のそうべえさん、どうしたことか綱から落っこち、暗闇へとまっさかさま。「ここ どこやろか。死んでしもうたんや・・・。」そうべえさんは歯医者のしかいさん、医者のちくあんさん、山伏のふっかいさんと一緒に火の車に乗り、しょうずかのばあさんに着物をはぎとられ、三途の川をわたり、こわーい閻魔さまのもとへ送られます。地獄行きを言い渡された4人はまずふん尿地獄に放り込まれました。それから鬼に喰われ、熱湯の釜に投げ出され、針の山へ放りあげられ・・・でもちっともへこたれない4人に閻魔さまは・・・。

上方落語「地獄八景亡者戯」(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)を題材に関西弁でリズムカルに語られるおはなしです。そして美大での専攻は染織図案科という田島征彦さんのダイナミックな絵がそのおもしろさ、楽しさを何倍に大きくしてくれています

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