
本のしょうかい

『あ』
大槻あかね 作
福音館書店
針金でできた小さな「ひと」が歩いていると、自分より大きなジョッキがありました。「あ」。これはなんだ、というようにしばらく見上げ、片腕をまげてジョッキの形を真似てみます。次はほうろうの白いポット。この「ひと」は大きく手を広げ見上げたあと、こんどは「ひょ」と腕を上にまげてまたまたポットの形を真似してみます。
中身が半分入ったマヨネーズのチューブに出会ってこの「ひと」はどんな反応を示すかな? テープ、てぶくろ、本、食パン・・・次から次へと彼の前に登場するのは私たちの身の周りにあるお馴染みのものばかりです。そのたびに針金人間くんは“なるほど”と感心するような反応をみせますよ。蚊取り線香のページでは思わず拍手!最後は「ひゃっほう」とファースーの上を走り抜けてどこかへ・・・ 。
こんなすてきな大人にも楽しい写真仕立ての絵本の作者は大槻あかねさん。シンプルだけれど美しくそのセンスのよさには参ってしまいます。「よぶんなものを そぎおとしていって のこったものは つよくて うつくしいです。そういう いさぎよさを つくりたいです。それでいて マヌケなものを つくりたいです」大槻さんはいつもこんな姿勢で創作しているそうです。
本の最後をよーく読んでいたら英語のタイトルが記されていました。『HE MEETS』またまた なるほど。