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シンデレラの表紙画像

『シンデレラ』
安野光雅 文・絵   

世界文化社

誰もが知っている「シンデレラ」のおはなし。安野光雅さんの手による安野さんらしい『シンデレラ』がこの夏お目みえしました。世界文化社の人気絵本シリーズ「ドレミファランド」(1974年)から抜粋され、単行本としての再登場です。

どんなところが安野さんらしいかって?それは本を開いて自分の目で確かめて欲しいのですが、シンデレラのストーリーはいたってシンプルに進みます。2度目のお母さん、そして一緒にやってきたお姉さんたちに日々こき使われていじめられる、なんていう場面もありません。シンデレラ(灰まみれのきたない子)は朝から晩まで一生懸命働き、お城で開かれる舞踏会に魔法使いのおばあさんのチカラで行くことになって、約束の12時、急いで帰る途中靴を落とし、後日その靴にぴったりだったシンデレラは再びお城へ。

このシンプルなストーリーに安野さんの絵が深みを与えています。安野さんの絵の世界はウーン、さすがです。安野ファンにはおなじみの『旅の絵本』風の細かい描写にも参ってしまいます。特に建物は丁寧に丁寧に描かれていて、まるで『旅の絵本』の中にシンデレラが溶け込んでいるかのようです。ページのどこかで必ず魔法使いのおばあさんがシンデレラを見守っています。それも安野風のだまし絵、かくし絵調になっています。気がつくかな?

シンプルな美しさ、そして上品さとユーモアが感じられる『シンデレラ』です。

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