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マチルダはちいさな大天才の表紙画像

『マチルダはちいさな大天才』
ロアルド・ダール 作  宮下嶺夫 訳

評論社

本の山に囲まれた木箱の上に座り、これまた分厚い本を広げて遠くを見ている女の子マチルダ。すっかりお話の主人公になって空想の世界をさまよっているのかな。この本の挿絵を担当しているクェンティン・ブレイクさんの描く表紙に本好きの人はまずグっと来てしまいます。

さて、イギリス、イングランド地方のある村に住むマチルダは3歳になる前に字が読めるようになって、4歳でディケンズやキップリング、スタインベック、ヘミングウェイを読みこなすほどの天才少女です。

でも環境には恵まれません。マチルダの存在、マチルダの才能など全くみとめず、どなりちらしてばかり、仕事も怪しいことばかり、テレビを見ながらソファーでのワンディッシュディナーが大好きという両親。入学した学校の女校長は生徒たちに憎しみをたぎらせる圧制者。弱い立場の子どもたちに対して様々な圧力をかけてきます。

あー、ひどい、かわいそう、慰めてあげたい、励ましてあげたい、と思いながら読み進む私たちなのですが、いつの間にか読者がマチルダに励まされ元気づけられていることに気付きます。暴力的で自己中心的な大人を相手にユーモアを忘れず大人をぎゃふんと言わせ戦い続ける子どもたちはとにかくスゴイ!

「作者のダールはこの作品のなかで彼の持論である、読書することの大事さ、高圧的、画一的教育に対する批判、そして児童文学は先ず面白くなければいけないことをのべている」と訳者の宮下さんは解説しています。ダールさんは198センチの大男、シニカルだけれど子どもが大好き、いつも子供の立場から作品を書き、サイン会でも幼い読者たちとの会話を心から楽しんでいたそうです。新しい本が出るたびに子どもたちは奪い合うように読んだという大人気のダールさんの作品にはお馴染みの『チョコレート工場の秘密』や『こちらゆかいな窓ふき会社』などたくさんありますね。

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