
本のしょうかい

『だいすきなもの
ネパール・チャウコット村のこどもたち』
公文健太郎 写真
偕成社
ヒマラヤ山脈の裾野に位置する国、ネパール。首都カトマンズの東約30キロあたりにチャウコットという小さな村があります。写真家の公文健太郎さんはこのチャウコット村で写真を撮ることよりも、仕事、遊び、お祭り、なんでも村のひとたち、こどももたちといっしょに取り組んだことが楽しく、こどもたちは最高の先生だったとあとがきで振り返っています。そんな公文さんが撮影した子どもたちのまぶしいばかりの笑顔が印象的な写真集です。
公文さんはこの村の子どもたちからだいすきなものを教えてもらいました。写真の中から子どもたちの元気な声が聞こえてきそうです。
「地面がすき。地面がないと、ぼくたちはあるくことだってできないもん。」「木と森がすきです。森はわたしたちに水をくれるから。」「家がすきです。家があるから、家族でいっしょにくらせるし、雨と太陽から、わたしたちをまもってくれるもの。」これらのことばが特に今、日本人の私たちに強く響いてくるような気がします。大切なもの、大好きなもの、そこにあって当たり前だったものへの感謝の気持ちがこの本によって甦る、そんな気がします。