
本のしょうかい

『くんちゃんのはじめてのがっこう』
ドロシー・マリノ 作 まさき るりこ 訳
ペンギン社
「きょうから ぼく がっこうに いくんだ。」「ぼく きょうから 一ねんせいなんだ。」くまのくんちゃんにとって本当にきょうはとくべつな日です。早起きしてウキウキ気分のくまのくんちゃん。おかあさんと初めて登校する道でもミツバチ、こうもり、ビーバーたちにじぶんはきょうから学校へいくけれど、きみは?と嬉しそうにはなしかけます。
さて、学校に着きました。お母さんと別れて先生と教室に入ります。くまの学校には入学式もなく、おにいさん、おねえさんと一緒の教室でいきなり何やら難しそうな勉強が始まりました。一年生はくんちゃん、スージー、ハリエットの3人です。上級生が勉強する様子に,ぼく字は読めないし、計算もできないし・・・と心細くなりイスの上でだんだん小さくなるくんちゃん。帰ってしまったおかあさんのことが恋しくなります。
黒板の近くへ席を移動するとき、教室の戸が開いていることに気づいたくんちゃんは思わず外へ飛び出しました。窓からほかの二人の勉強の様子をのぞくくんちゃんを先生は叱ることもなく、何事もなかったように授業をつづけ、上手にくんちゃんをまた教室へ導くのです。こんな勉強ならぼくにもできる、とくんちゃんの不安は自信、喜び、期待へと変わり、私たちも「良かった、くんちゃんあしたもがんばれ。」と声をかけてあげたくなります。こうしてくんちゃんの初めての学校での一日が無事終わりました。ヤレヤレ・・・。
作者のドロシー・マリノさんは1912年アメリカのオークランドで生まれました。画家だったお母さんの影響を受け、ドロシーさんも小さい頃から絵が大好きだったそうです。昨年ドロシーさんの6冊目の絵本「おかあさんは、なにしてる」が初邦訳されました。その本によると、ドロシーさんは現在コネチカット州で暮らしているということです。どんなおばあちゃまなのでしょう?いつまでもお元気で、と願います。