
本のしょうかい

『ルピナスさん――小さなおばあさんのお話』
バーバラ・クーニー 作 かけがわやすこ 訳
ほるぷ出版
海辺の町に住む少女アリスはおじいさんが大好きです。昔海を渡って今の町にやってきたおじいさんとある日約束をします。大きくなったらおじいさんと同じように遠い国へいくこと、おばあさんになったら海のそばの町に住むこと、そして世の中をもっと美しくするために何かをすること、の三つでした。そしてミス・ランフィアスとよばれる大人になると、約束どおりまずいろいろな国へ行きそこで暮らしました。塩の匂いのしない町、南の島、一年中雪が解けない山、ジャングル、砂漠・・。さまざまなところでたくさんの人たちに出会い、一つ目のおじいさんとの約束も果たしたころ背中を痛め(ラクダから落ちてしまったのです)ミス・ランフィアスは、そろそろ海辺の町で暮らすことにしました。
海を眺めながら、おじいさんとの三つ目の約束のことを考えました。しばらく寝たきりだったアリスを慰めてくれたのは花でした。それは彼女が前の年に撒いておいた種が育った大好きなルピナスでした。おじいさんとの大事な約束をどのように果たしたのか、どうしてアリス(ミス・ランフィアス)が「ルピナスさん」と呼ばれるようになったのか、おはなしを最後まで読んで確認してくださいね。
バーバラ・クーニーさんはニューヨーク生まれ。現代アメリカで最も活躍している絵本作家の一人です。「クーニーさんはルピナスの花と重ね合わせて独立心にあふれた一女性の人生をものがたりにしました・・。」と本の最後のページに解説されています。みなさんの身近にこんなステキなおばあさん、いますか? ルピナスは下から上に花がついていくことから『昇藤』という和名がついているマメ科の植物。4月から6月頃によく見かける花です。お散歩の時に探してみましょう。