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からすのせっけんの表紙画像

『からすのせっけん』
むらやまけいこ 作   やまわきゆりこ 絵

福音館書店

 

からすが白いせっけんを拾って森へ持ち帰りました。

食べるものかと思っていたら、かじってもちっともおいしくありません。その様子を見ていたふくろうが、それはせっけんというもので、羽や体を洗うときれいになるよ、と教えてくれました。さすがにふくろう、物知りです。

からすがさっそく森の池に飛んでいきせっけんで「じゃぶ じゃぶ ぷるる ぷわららら」体を洗ってみると、とても気持ちがよくさっぱりしました。

こんなに気持ちが良いのなら、森のみんなにもこのせっけんを貸してあげようと思う心の優しいからすです。

木の枝に「せっけんおかしいたします。」という札まで下げて森のみんなを待っていると、まずやって来たのはねずみ。せっけんを借りて「じゃぶ じゃぶ ぷるる ぷわららら」きれいになったねずみは 「ああ、さっぱりした。ありがとう」

次にりすがやって来て「じゃぶ じゃぶ ぷるる ぷわららら」そしてまた「ああ、さっぱりした。ありがとう」

それからうさぎ、さる、くま、とせっけんを借りては体を洗ってみんなごきげんになります。最後にやって来たのはぞうでした。ぞうも体を洗ってさっぱりして帰りかけた時からすはあわてます。せっけんがどこにも見当たらないからです。

白いせっけんは一体どこへいったのか、池の周りにいたみんなも一緒に探していると、ずっと様子を見ていたふくろうが・・・。やっぱり物知りなのですね、ふくろうさん。

みんなで分け合おうとする優しさ、お世話になったらありがとうと言える素直さ、みんなが仲良しという嬉しさが、むらやまけいこさんのお話とやまわきゆりこさんの絵から温かく伝わってきます。

福音館書店「こどものとも」1984年4月号の再版が2023年6月号として最近出版されたばかりです。

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