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おれよびだしになるの表紙画像

『おれ、よびだしになる』
中川ひろたか 作  石川えりこ 絵

アリス館

小さい頃から憧れていたおすもうの世界に飛び込んだ一人の男の子のお話です。主人公のぼくは、おすもうが大好き。

おすもうさんも好きだけれど、もっと好きなのはよびだしさん。土俵の上で扇子を手にこれから勝負をするおすもうさんを呼び出す人がよびだしさんです。

よびだしさんになるためにぼくは中学を卒業してすぐにすもう部屋に入門します。

修行の日々が続きます。もちろん声を出して呼び出しの練習は欠かせませんが、ぼくはよびだしさんにはまだまだいろいろな仕事があることを知ります。

大ずもうが始まる前のふれ太鼓、終わった後のはね太鼓をたたくのもよびだしさん、土俵作りもよびだしさん、懸賞幕を持って土俵を一周、力士にひしゃくと紙をわたして力水のお手伝い、土俵を掃いたり拍子木をたたいたり、と大忙しです。

よびだしさんはおすもうさんを支える大事な裏方の仕事を引き受けています。いわば縁の下の力持ち、地味だけれどなくてならない存在です。

立派なよびだしさんになってほしいといつの間にか読み手も男の子の成長が楽しみなってきます。

中川ひろたかさんがきっと綿密な取材をもとによびだしさんの仕事をお話にまとめ、それを石川えりこさんが得意とするモノクロ中心の絵で表情豊かにそして力強く描いている一冊です。

よびだしさんになりたいという男の子の願いは周りの大人たちの温かい応援によって叶っていくのだなと感じるお話。子どもの夢を否定せずに見守ってあげようとする姿勢、大人は大切にしたいものです。

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