本のしょうかい
『じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ』
accototo ふくだとしお + あきこ 作
大日本図書
春、桜の花びらが優しい風に吹かれてひらり。花びらが舞いおりた先は葉っぱにいたさなぎの上でした。
やがてそのさなぎはチョウになり、ふわりと舞い上がり、タンポポの綿毛におります。綿毛はばらばらになり、風に乗って空へ。
空から雨が降ってきました。そして雨粒がひとつ、カエルの頭に触れました。土に響いたカエルの鳴き声がセミの幼虫を起こします。
幼虫は地上に姿を現わしセミになり、力を振り絞って鳴き続け、私たちに夏の到来を教えてくれます。こんなふうに秋、冬、そしてまた春がめぐって来ます。
「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」という言葉に導かれて季節を繋いで行く生き物たち。不思議な自然の営みの素晴らしさ、絵本の中のゆったりとした時間の流れに読み手の気持ちが和みます。
日頃私たちが当たり前に思っている自然の繰り返し、この平和な繰り返しが止まることなくいつまでも続くことを心から祈りたくなる一冊です。優しいタッチで大きく描かれた絵も魅力的です。